2003年7月23日水曜日

「子どもと成人の矯正治療」について

ゲスト/北大前矯正歯科クリニック 工藤 章修 歯科医師

子どもと成人の矯正治療に違いはありますか。

 まず、子どもの矯正治療ですが、乳歯から永久歯に生え替わる7歳から14、5歳くらいまでは、顎(あご)の発育をコントロールし、歯のバランスを整えるのに一生で最も適している時期です。歯並びだけではなく、顎自体を広げたり、前に移動したりと、この時期ならではの治療が可能です。しかし、一方で期間が長く、どのように変化しているか、また、最終的にはどのようになるのかが見えにくく、当事者であるお子さんはもちろん、保護者が治療期間中に不安を感じることがあります。著しい変化が目に見えない分、治療を中断してしまう人もいます。成人の矯正治療の利点は、すでに完成した歯並びの「どこをどう治したい」という意思が、患者さん側にはっきりあることです。例えば、出歯と呼ばれる上顎(じょうがく)前突の場合、歯だけを引っ込めたいのか、歯茎ごと引っ込めたいのか、患者さんの頭の中にはすでに理想となった形があるはずです。医師もそれを尊重し、具体的な目標に向かって治療計画を立てることができます。ただ、年齢が高くなるに従って歯が欠損し、さし歯(継続歯)やブリッジがすでに入っていることがあり、矯正治療のみでは治療に限界があるため、ほかの歯科治療と協力しながらの治療(オーラルリハビリテーション)が必要になることもあります。

上手に矯正治療を受けるためにどうしたらいいですか。

 まず、子どもの場合ですが、「見えない」ことは不安につながります。3~6カ月ごとに医師とじっくり話し合い、説明を受ける機会を持ってください。本人はもちろん保護者も医師を「友人」と考えて何でも聞いてください。これは意思の疎通を図るのはもちろんですが、患者さんの背景も含めた状態を知ったほうが、より効果的な治療を行えるからです。成人の場合は、治療に関する要望を具体的に医師に伝えてください。治療上の大事なポイントになることがしばしばあります。子ども、成人どちらにもいえることですが、矯正治療期間中に転居や進学で通院できなくなる場合は、主治医に相談し、転居先の信頼できる専門医を紹介してもらうことをお勧めします。無理に治療を短縮することは好ましくありません。

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