2003年7月16日水曜日

「胃食道逆流症」について

ゲスト/にしはら内科クリニック 笹村 崇子 医師

胃食道逆流症について教えてください。

 この病気は、酸性度の高い胃の内容物が食道に逆流することによって起こります。典型的な症状は、胸焼け、口の中に酸っぱい液や苦い液が上がってくる、げっぷなどです。ほかに、つかえ感、胸痛、長引くせき、のどの違和感などさまざまな症状がみられます。自覚症状が無いのに食道炎を起こしていることや、逆に症状があるのに内視鏡では食道炎がみられないこともあり、どちらも胃食道逆流症に含まれます。逆流により食道に炎症がみられるものを逆流性食道炎といいます。食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋という弁のような役割をする筋肉があり、普段は閉じていて飲み込む時に開きます。この働きなど、胃からの逆流を防ぐいくつかの仕組みが崩れ、食事と無関係に食道と胃のつなぎ目が緩んだ状態になったり、逆流した内容物を胃に戻す働きが低下したり、食べ過ぎなどにより胃の圧力が高まることにより起こります。

治療法や生活上の注意点について教えてください。

 この病態は、肉や脂肪分の摂取が多い人や高齢者、腹圧が掛かりやすい人(肥満、妊婦、背中が曲がっている人など)、食道裂孔(こう)ヘルニアのある人、胃の手術をした人などがなりやすく、最近増加しています。検査は内視鏡で直接食道を観察して診断するのが一般的で、ほかに食道内PHモニタリングや食道内圧検査などを行うこともあります。治療は、胃酸の分泌を抑える薬、特にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が効果的です。ほかに消化管運動機能改善薬や粘膜保護薬などがあります。服薬をやめると再発することが多いため、医師の指示に従って胃酸を抑える薬を服用し続けることが大切です。再発を繰り返す重症例などは、外科手術が必要なこともあります。日常生活では、脂肪分の多い食事や刺激物、甘い物、コーヒー、炭酸飲料、アルコールなど胸焼けを起こしやすいものは控えます。過食は避け腹八分とし、食後しばらくは横にならず、また就寝前の食事は避けることが重要です。就寝時は上半身を高くして休むと効果的です。前かがみの姿勢を続けたり、きついガードルなども避けましょう。症状に思い当たる人は、一度専門医を受診することをお勧めします。

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