ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師
顔のシワについて教えてください。
大きく分けて2種類あります。一つは乾燥によって肌の柔軟性が失われ、折り目が元に戻る力が弱くなることでできる細かいシワ、もう一つは筋肉の動きによってできる表情ジワです。紫外線も悪影響をおよぼします。なかでも波長の長いUVAは真皮まで達し、肌に張りを与える弾力繊維のコラーゲンやエラスチンを変性させます。コラーゲンの機能が低下する25歳以降は、特に日ごろの手入れが重要です。細かいシワの予防には保湿が第一です。日中、乾燥していると思ったら、軽いメイクの上からであればミスト状の化粧水やジェルを塗布するのも効果的です。多種類の保湿液の常用は、肌そのものが持っている機能が低下する原因となるので、化粧水やジェルなどを中心としたシンプルな保湿をお勧めします。表情ジワの代表はみけんや額のシワで、視力の弱い方や眼瞼下垂の方が、物を凝視する表情を繰り返すことでできる場合が多いです。どちらのシワも、日常生活の心掛けである程度の予防が可能です。大切なのは、皮脂や汚れをしっかり落とす洗顔です。ゴシゴシ洗わず、低刺激性の洗顔料を十分に泡立て、包み込むように洗ってください。睡眠不足やストレスは良くありませんし、食事ではビタミンA、C、ベータカロチンの摂取を心掛けましょう。
出来てしまったシワの対処法はありますか。
シワの深さや種類によってさまざまな方法があり、効果の継続期間や回数も異なります。複数の併用により、高い効果が得られる場合もあります。細かいシワはレチノイン酸(ビタミンA)や、コラーゲンの誘導体となるビタミンCが入ったクリームなどの塗布が有効です。また、元来皮膚など人体に存在しているヒアルロン酸を注入する方法では、潤いのある肌が期待できます。幅広い波長を持つフラッシュ光の照射で肌の老化を改善するフォトフェイシャルIPLも有効で、コラーゲンやエラスチンを増やす効果もあります。そのほか、角質の一部を除去し、肌の持っている修復力を活用するケミカルピーリングなどもあります。いずれも専門医とよく相談して行ってください。