2003年2月19日水曜日

「形成外科的傷の治療法」について

ゲスト/土田病院 日下貴文 医師

形成外科的な傷の治療について教えてください

 形成外科という分野についてですが、一般に整形外科と混同される人が多いようです。形成外科は、先天異常、外傷、腫瘍(しゅよう)による醜状を元の状態に戻すための治療を行います。通常の人に新たな外科侵襲を加えて、より美しくする場合は美容外科といい、これも形成外科分野に含まれます。形成外科医の数は、実はかなり少ないこともあり、救急病院で形成外科医が当直していることは極めてまれです。しかし、外傷を負って応急の処置を受けた後、形成外科を受診するのとしないのとでは、傷痕に大きな違いが出る可能性があります。形成外科医が縫合する場合、表面よりも深部の真皮縫合を重視します。皮膚表面はスーチャーマーク(縫合跡)が極力付かないようにごく細い糸で縫合し、抜糸は7日以内に行います。傷の表面は約1週間でふさがりますが、実際の傷の活動は最低でも3カ月間は持続します。つまり、少なくとも3カ月間は傷の幅が太くなったり、赤く盛り上がったりする可能性があります。このため、抜糸後に創の緊張による傷跡の広がりを防いだり、日焼けによる色素沈着を予防するためにテーピングを3カ月間続けます。

やけどについてはどうでしょうか。

 熱傷は、範囲が広いと生命にかかわることは知られていますが、小さなやけどでも早期治療が不適切だと、熱傷深度が進行することがしばしばあります。熱傷は皮膚組織損傷の深度によって1度、浅達性2度、深達性2度、3度熱傷に分類されます。浅達性2度熱傷までは自然治癒できれいに治ります。しかし、深達性2度、3度熱傷の場合は外科的切除と植皮が必要になりますので、早いうちに専門医を受診しましょう。外傷や熱傷で感染が生じると創傷治癒が遅れ、肥厚性瘢痕(はんこん)やケロイドが発生することがあります。この場合、内服薬や軟膏(なんこう)、ステロイド局所注射、テープ固定、放射線治療、手術などを組み合わせて治療します。しかし、肥厚性瘢痕やケロイドの改善は人によって難しい場合もあるので、早期に適切な治療を受けることをお勧めします。

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