2002年11月6日水曜日

「サルコイドーシス」について

ゲスト/大道内科・呼吸器科クリニック 大道光秀 医師

サルコイドーシスとは、どのような病気ですか。

 類上皮細胞肉芽腫(しゅ)という「肉の塊」のような組織ができる病気です。全身のあらゆる臓器にできますが、肺および胸部のリンパ腺にできる場合が最も多く、その場合、症状、胸部写真の影も結核と似ています。結核の胸部写真では、多くは片側の肺門リンパ節が腫(は)れますが、サルコイドーシスの場合、両方の肺門リンパ節に腫れが見られる場合が多いです。かつては、若い男性に多い病気で、両方の肺門リンパの腫れが出るくらいで、何の症状もなく、2年ほどで自然に治癒する病気だと思われていました。しかし、最近の研究で、この病気は若者からお年寄りまで発病することがわかりました。病気が現れる個所によって症状もさまざまで、目にできた場合は失明の可能性、心臓にできた場合は不整脈や突然死の原因に、神経に現れた場合は精神異常や耳鳴り、めまい、顔面神経痛の原因になることもあります。この病気の原因は不明ですが、急に悪くなったり、良くなったりするものではないことがわかってきました。10万人に2~4人程度の発症率で、難病であり、国の特定疾患にも指定されています。

診断方法と治療法について教えてください。

 診断には胸部写真と血液検査でのアンギオテンシン変換酵素の上昇、ツベルクリン反応陰性化(結核は陽性)などの検査所見と、気管支鏡を使った検査を行います。この病気は原因不明のため、根本的に治す薬品はありません。ただ、ステロイドホルモンという薬で一時的に症状を軽くすることができます。長期の使用で副作用が起こったり、症状の悪化を招いたりすることもあるので、慎重な投薬が必要です。また、結核の患者にステロイドホルモンを投与すると、急激に症状が悪化するので、まずはサルコイドーシスと結核の区別をしっかりつけなくてはいけません。侵された臓器により治療法も異なるので、いつ、どのようにステロイドホルモンを使うか、まとめ役の主治医のもとでいろいろな科の先生たちと連携を取りながら、経過を診ていく必要があります。完治はしませんが、症状が出ない間は、普通に過ごせます。

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