2002年11月20日水曜日

「痛みの治療」について

ゲスト/十善クリニック 水柿功 医師

痛みの治療について教えてください。

 「痛み」を専門に治療するペインクリニックでは、主として神経ブロックで治療します。対象となる疾患は、腰痛症、腰椎(ようつい)椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脊(せき)柱管狭窄(きょうさく)症、腰椎手術後腰痛症、五十肩、肩こり、頭痛、変形性膝(しつ)関節症などがあります。薬物療法やさまざまな理学療法を行ったのにもかかわらず残っている痛みは、多くの場合神経ブロックを行うことで改善されます。突然起きる「ギックリ腰」は、洗顔が出来ない、靴下をはけない、歩くのも苦痛などの症状がありますが、1回の神経ブロック治療で痛みが取れてしまう場合もあります。また高齢者の方で「年だから、腰が痛くなるのは仕方の無いこと」といわれ、自分自身で諦めている方でも改善の余地はあります。さらに手術などが必要な回復力が乏しい場合でも、神経ブロックの回数を増やすことで改善が期待できます。痛みを我慢するということは、人体の自然治癒能力を大きく妨げることになります。神経ブロックの治療は、人の持つ本来の自然治癒能力を促すことにあるのです。

具体的な治療方法をご紹介ください。

 神経ブロック「硬膜外ブロック」について説明しますと、このブロックは、ギックリ腰や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの治療に行われます。脊髄(せきずい)を含む硬い膜の外側を硬膜外腔(くう)といいますが、ここに局所麻酔薬を注入すると痛みを遮断し、血液の流れを改善します。腰痛に対する硬膜外ブロック療法は、腰痛の原因のいかんにかかわらず効果を発揮します。また、痛みを引き起こしている部位が特定される場合は、直接局所麻酔薬を注入して痛みを取る場合もあります。肩こり、五十肩にも優れた治療効果があります。また、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の場合には、早期に神経ブロックを行えば、治癒した後から発症する帯状疱疹後神経痛に悩まされることはありません。「痛み」は我慢すれば慢性化し自然治癒力が低下します。そうなる前にペインクリニックの専門医に診てもらうことをお勧めします。

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