2002年11月27日水曜日

「骨量減少と骨粗しょう症」について

ゲスト/草薙レディースクリニック 草薙鉄也 医師

骨粗しょう症について教えてください。

 骨粗しょう症とは、骨がスポンジのようにスカスカになって骨折しやすくなる病気です。閉経を迎えた更年期以降の女性に起こりやすく、ちょっとした転倒や衝撃で骨折し、それが高齢者の寝たきりの大きな原因の一つになっています。骨の形成と女性ホルモンには深い関係があります。女性は、20代の前半までに卵胞ホルモンの働きで、骨の中にカルシウムが大量に蓄積され、丈夫な骨になります。背骨は35歳前後、股(こ)関節と手首は20代前半で最も丈夫な骨になります。しかし更年期になってホルモンの分泌量が減ると、破骨細胞だけが活発に働くようになります。また、カルシウムは女性ホルモンやビタミンDの助けがないと体内に吸収されないので、女性ホルモンが不足すると、カルシウム不足になり、その結果、閉経後骨量が減って骨粗しょう症という事態になるのです。

骨粗しょう症の判定の仕方や、予防法をご紹介ください。

 骨密度は、80%以上が正常、80~70%を骨量減少、69%以下を骨粗しょう症といいます。30歳から65歳までに平均で30%程度は減少することがわかっています。すると、30歳で骨密度が95%あっても、65歳ごろには65%で骨粗しょう症ということになります。30代では100%の骨密度がないと、骨粗しょう症予備群ということになります。今まで診察した患者さんを調査したところ、若くして骨量が平均以下の人が約3割いました。これは、65歳以降の骨粗しょう症の人の割合とほぼ一致します。つまり、骨粗しょう症はお年寄りの病気だと思われがちですが、その傾向は若い時からはっきり現れているのです。予防策として、まず20、30代で1度骨密度を計ってみましょう。腕よりも背骨や大腿(たい)骨を計測しましょう。30代の平均値として背骨は103%、大腿骨は102%、閉経時で背骨は93%、大腿骨は88%、閉経後10年で背骨、大腿骨とも73%は必要です。自分の骨密度値がこれを下回っている場合は、積極的にカルシウムとビタミンDを取り、適度な運動を心掛けて骨量増加に努めましょう。また、無理なダイエットは、骨の成長に悪影響を及ぼしかねません。食事・生活習慣を見直して、骨粗しょう症を予防しましょう。

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