2014年2月19日水曜日

最新の糖尿病治療薬


ゲスト/医療法人社団 青木内科クリニック 青木 伸 院長

最新の糖尿病治療薬について教えてください。
 糖尿病治療薬の最近の進歩は目覚ましいものがあります。飲み薬では、高血糖の時にだけすい臓からインスリンを分泌させ、正常血糖へ下げる「DPP-4阻害薬」があります。この薬は理論的には低血糖を起こさず治療できる新薬で、糖尿病の平均血糖の指標であるHbA1c値を1.0%前後下げます。この薬と同じ系統の注射薬も登場し、「GLP−1受容体作動薬」と呼ばれています。この注射薬はHbA1c値を1.6%前後下げます。現在は1日1回の注射が必要ですが、将来的には1週間に1回で済む注射薬も出る予定です。この系統の注射薬は、すい臓のインスリンを出す細胞を保護し、インスリンの分泌を弱らせない作用も持ち合わせているといわれています。
 一方、インスリン注射薬に目を向けると、「持効型インスリン(1回の注射で24時間効果を持続する長時間作用型インスリン)」があります。飲み薬の治療が効かなくなる症例でも、飲み薬をそのまま服用しながら、1日1回の持効型インスリンの注射を加えると血糖が改善する症例もあります。「混合型インスリン」は、持続型インスリンと超速攻型インスリンの合剤ですが、超速攻型インスリンの含有率が50〜70%の製剤が最近使用できるようになりました。食後血糖の高い症例を治療するのに便利なインスリンです。

糖尿病の治療について教えてください。
 糖尿病の治療が良好といえる目安はHbA1cが6.9%以下になっている場合です。糖尿病の患者さんの約半数が高血圧と脂質異常症(高脂血症)を合併しているといわれています。糖尿病を合併した高血圧の治療はとても重要で、血圧の治療目標値は130/80mmHg以下です。自宅で簡易血圧測定器を使用して治療に役立てる方法もあります。この場合使用する測定器は、指先や手首に巻くタイプのものではなく、上腕に巻くタイプのものをお勧めします。脂質異常症の治療目標値は、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が120mg/dl以下です。以上のようなさまざまな基準値を長期間保てば、眼底出血(失明)、腎臓の悪化(透析)、足の潰瘍・壊疽(えそ)による足の切断など糖尿病に由来する重症の合併症にならなくて済みます。それ以外にも脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞などの予防にもつながります。

2014年2月12日水曜日

不登校


ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院  太田 健介 院長

不登校について教えてください。
 不登校とは、何らかの心理・身体的、社会的要因などにより、登校しない状態です。平成24年度の政府統計では、小学生の0.31%、中学生の2.5%に不登校を認め、平成3年の2倍以上に増加しています。
 原因は多様で、不安などの情緒的混乱、無気力、友人関係上の問題、親子関係上の問題、学業不振などが多く、いじめが原因の不登校は2.1%とされます。
 最近は、携帯電話やインターネット、ゲーム依存による生活リズムの乱れが合併する症例が増えています。また、家庭の要因も大きく関与し、父性の欠如、過保護過干渉、母子密着などが多く認められます。また、背景に発達障害や精神障害があることもあります。
 不登校の子どもの第1期:腹痛や吐き気、目まい、朝起きられないなどの身体症状や母子密着などです。第2期:反抗、暴言、暴力。不登校が長期化し、集団生活や友人関係から得られる体験が得られず、第3期:ひきこもり状態となります。その結果、将来の社会適応がより困難になります。

不登校の治療について教えてください。
 不登校は、対応が早ければ早いほど、治療成績が良いです。早期ではなるべく早く学校に戻す行動療法的アプローチが有効です。背景にうつ病などの精神疾患が隠れているケースもあり、その場合は精神疾患への治療が必要です。
 不登校に対する治療は、1~2週間の入院で行われる場合が多いです。入院により、母子分離ができ、規則正しい生活が身に付き、多年齢層との集団生活により、視野が広がり、精神的自立が促されます。
 また、内観療法という認知療法も行われることがあります。これにより、自分のことをより客観的に見られるようになり、親や周囲の責任だと思っていたことを、自分の問題として捉え、前向きに行動できるようになります。ピアサポート、アニマルセラピーや、遊戯療法(ダーツなど)を通して心を開き、楽しく治療することも大切です。
 さらに、院内学校で学習指導を行う病院もあります。ほかに、家族療法および学校との連携も必須です。送迎や自転車貸与などの登校支援も有効です。

2014年2月5日水曜日

低温やけど


ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 院長

冬季に増える「低温やけど」とはどのようなものですか。
 低温やけどとは、それほど熱くなく普通はやけどを起こさないような温度で起こるやけどを言います。42度以上の温度で起こり得ます。熱さを感じない、もしくは心地よさを感じる温度でも、長時間、体の同じ場所に触れ続けているとやけどが起きます。道内では、就寝中に湯たんぽを使っていたことが原因で、脚の横ずねやかかとに起きるケースが最も多いです。カイロを貼っていることを忘れて長時間使ったり、ストーブやファンヒーターの前で居眠りしたりするのも危険です。
 やけどの程度は、温度と接触時間によって変わります。通常のやけどと異なり、低温やけどは弱い熱でゆっくりと皮膚と皮下の組織にダメージを与えます。熱さや痛みに気付かないうちに、いつの間にかやけどになってしまうのです。長時間接触しているため、範囲は小さくても、深いやけどになるのが特徴です。皮膚表面の下にある真皮組織や、その下の脂肪、場合によっては筋肉まで達することもあります。
 やけどが比較的浅いものであれば、軟こうなどの治療で治りますが、それでも1~2ヵ月かかるケースがほとんどです。さらに深いやけどとなると、壊死組織を除去したり、場合によっては皮膚移植など手術が必要になることもあります。また、治っても瘢痕(はんこん)が残ってしまいます。

低温やけどで注意すべきポイントを教えてください。
 低温やけどは、最初は軽いやけどだと誤解されることが多いです。しかしながら、受傷後しばらくたってから「やけどが治らない」と受診する人が多いです。受傷部位が細菌などに感染すれば、高熱が出たり、ときには敗血症のような重篤な症状を引き起こしたりします。また、処置が遅れると、治療期間も長引きやすいので、決して自己判断せず、できるだけ早く形成外科や皮膚科の専門医を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
 暖房器具の使い方を注意するのが、低温やけどの予防法です。湯たんぽはあらかじめ就寝時に布団から取り出すのが安全な使い方です。カイロは直接肌に貼り付けることを避け、下着や衣服の上に当てて使用しましょう。また、長時間同じ場所に当てずに温める場所をこまめに移動するのが安全です。ストーブやファンヒーター、パネルヒーターなどの前で居眠りしないよう、くれぐれも注意してください。

2014年1月29日水曜日

神経障害性疼痛


ゲスト/札幌宮の沢脳神経外科病院 村上 友宏 医師

神経障害性疼痛とはどのような病気ですか。
 打撲や炎症による痛みを侵害受容性疼痛といい、神経が障害されて起こる痛みを神経障害性疼痛といいます。代表的なものには、座骨神経痛、帯状疱疹(ほうしん)が治った後の痛み、糖尿病に伴う痛みやしびれなどがあります。あまり知られていませんが、脳卒中や脊髄損傷による痛みも含まれます。
 手足の指先や手のひら、足の裏などに、①針で刺したような②電気が走るような③正座をした後のような、痛みがある場合や、④衣類がすれたり、冷風に当たったりするだけで痛い、などのような症状がある場合は、神経障害性疼痛が疑われます。
 神経障害性疼痛には、通常の鎮痛薬はほとんど効果がないことが多いです。また、痛みは我慢を続けると慢性化し治りにくくなる恐れがあります。気になる痛みのある人は、慢性化してしまう前に、早期に原因を発見し適切な治療を行うことが大切です。

神経障害性疼痛の治療について教えてください。
 さまざまな薬剤を病態や症状に合わせて使い分ける薬物療法が中心です。その他、神経の周囲に局所麻酔薬を注射して、痛みを抑える神経ブロック療法や、運動療法、温熱療法などを組み合わせることもあります。
 薬や神経ブロックなどが効かない患者さんには、脊髄に弱い電気を流すことで、痛みの信号を脳に伝わりにくくする「脊髄刺激療法」という治療法もあります。先端に電極が付いたリードを、脊髄の外側にある硬膜外腔といわれる部分に挿入し、電気を流して疼痛部にトントンと、軽く叩くような心地よい電気刺激を感じるかどうかを確かめます。これをトライアルといい1週間ほどその効果を試します。痛みが半分以下になった場合、効果ありと判定し、電気信号を発生させる小型の装置を体内に埋め込む手術を行います。装置のオン・オフや、刺激の強さを患者さん自身が専用装置を使い体外から操作します。この治療で痛みがなくなるわけではありませんが、鎮痛薬を減らすことができる、不眠から開放されるなど生活の質の向上につながります。痛みに対し、さまざまな治療を行っても満足する効果が得られない人は、専門医に相談してみるといいでしょう。

2014年1月22日水曜日

歯科金属アレルギー


ゲスト/医療法人社団アスクトース 石丸歯科診療所 近藤 誉一郎院長

歯科金属アレルギーとはどのようなものですか。
 虫歯などで歯に詰めた金属が、アレルギーの原因になる場合があることが分かっています。これを歯科金属アレルギーといいます。歯の詰め物以外にも差し歯や金属の付いた入れ歯などあらゆる歯科材料で起こり得ます。
 アレルギーを引き起こしやすい金属には、ニッケル、水銀、パラジウム、コバルトなどがあります。金や銀などにも反応する人もいます。生体親和性の高い金属・チタンでもわずかにアレルギー発症の報告があります。
 実は、金属そのものがアレルギーの原因になることはありません。金属が唾液や皮膚などの生体成分に触れることでイオン化し、表皮や粘膜のタンパク質と結合、本来生体には存在しない異種タンパクが作られます。この異種タンパクに対する拒絶反応としてアレルギー反応を起こします。近年、口腔(こうくう)内に多種類の金属が認められるとイオン化の傾向が強くなり、アレルギー症状が出やすくなることも分かってきました。
 代表的な症状には、直接局部で起こる接触性皮膚炎と、接触しない部位に発症する全身性皮膚炎があります。口の中では、頬、下、口唇、歯肉の粘膜に白い斑点やレース状の病変として現れる扁平苔癬(へんぺいたいせん)や舌炎、歯肉炎、味覚異常などの病気があります。全身性のものでは、手のひらや足の裏の小さな水膨れ、顔、手、背中の湿疹のほか、アトピーに似た症状を示すものもあります。

歯科金属アレルギーが疑われる場合どうしたらいいでしょうか。
 まずはかかりつけ歯科医に相談をして、専門の医療機関を紹介してもらい金属アレルギーを調べるパッチテストを受けることが大切です。原因となっているアレルゲン(アレルギーを起こす物質)を突き止め、直接の原因となっている金属を取り除く治療を行います。除去した後は、金属アレルギーが比較的少ない金属に換えますが、種類によっては保険外となるので注意が必要です。
 近年では、保険適用の樹脂(コンポジットレジン)も以前より強度が上がり、使用できる範囲も広がっていますが、修復物の大きさや治療する部位によっては適応が難しいケースもあります。除去した後、そのままの状態にしておくわけにはいきませんので、事前にかかりつけ歯科医と十分に相談してから治療を受けることをお勧めします。

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