<胃カメラの検査について教えてください>
胃がんを早期に発見する検査で、最も診断精度の高いものが「上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査」です。胃の粘膜を直接観察し、形や色調の変化などから病変の有無を詳しく調べます。バリウム検査と比較したとき、胃カメラ検査の強みは「直接見て判断できる点」、「必要に応じて組織を採取しさらに詳しい検査ができる点」です。
近年は、通常の光だけでなく、特殊な波長の光を使って観察したり、AIを活用した内視鏡システムも利用されるようになってきました。過信は禁物ですが、病変の見落としを防ぐなど医師の診断を手助けするサポートが期待できます。2020年に国立がん研究センターのまとめたデータによると、胃がんは早期発見の生存率が高く、ステージ1と呼ばれる早期の段階で発見された場合の5年生存率は約93%となっています。そこから進行してしまってステージ2では約67%、ステージ3では約41%と下がってしまいます。早期発見が大切な理由です。
胃カメラは胃がんのほか、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍、ピロリ菌関連疾患、食道がん、逆流性食道炎などさまざまな病気を見つけるのにも役立ちます。どの病気も早期に発見して治療すれば、重症化や再発を防げます。
一昔前の検査は、のどに麻酔をかけつつも胃カメラを口から挿入するため、嘔吐反射が起きやすいものでした。しかし現在は、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」を導入する医療機関が増えています。通常の胃カメラよりも細く、鼻腔(びくう)を通してカメラを食道に入れるため嘔吐反射がほとんどないことが最大の特徴です。口がふさがれていないため、検査中に医師と会話もできます。また、医療機関によっては鎮静剤や鎮痛剤を用いて患者さんが眠っているうちに検査を終わらせる、より苦痛や負担の少ない検査法も行われています。
50歳を過ぎたら症状がなくても「まずは一度」、それ以降は1年〜数年ごとの定期的な検査をお勧めします。ピロリ菌の除菌治療をした後は、胃がんや胃潰瘍にならないと誤解している方も少なくないですが、長年の感染で胃の粘膜の萎縮があり、リスクがなくなるわけではないので、除菌後も定期的に検査を受けることが重要です。また、胃がん検診でバリウム検査を受け、異常ありなら必ず精密検査を受けてください。命を守るためにもぜひ実践してほしいです。
佐野内科医院
佐野 公昭 院長
