2023年12月8日金曜日

胆のうポリープ

 <胆のうポリープについて教えてください>

 胆のうポリープは、胆のうの粘膜から胆のうの内側に発生した隆起のことで、検診や人間ドックで腹部超音波検査を行った際に、約5~10%の頻度で発見されます。

大部分が良性で、ほとんどがん化することはないといわれていますが、まれに悪性のもの(胆のうがん)が存在するケースもあるので注意が必要です。

 胆のうポリープの大半はコレステロールを主成分とする良性の「コレステロールポリープ」です。胆汁に含まれているコレステロールが、胆のうの粘膜に沈着してポリープになります。複数個できることが多く、大きさは5ミリ以下であることがほとんどです。その他の良性のポリープとしては、がん化する可能性がある「腺腫性ポリープ」、胆のうの表面粘膜(上皮細胞)が増殖した「過形成ポリープ」、胆のう粘膜の炎症によってできる「炎症性ポリープ」があります。

 一方、ポリープの中でも悪性のものは、「胆のうがん」と呼ばれます。大きさが10ミリ以上であることが多く、以前と比較してポリープが大きくなってきていることや独特の形態をしていること、胆のうの壁が厚くなってきていることなどが特徴的な所見です。


<診断と治療について教えてください>


 診断は、体外式の腹部超音波検査や造影CT・MRI検査、超音波内視鏡検査などが行われます。まずは患者さんの体の負担の軽さも考え、体外式の腹部超音波検査を行うことが多いです。その他、補助検査として血液検査で肝機能や腫瘍マーカーのチェックを行う場合もあります。

治療は、胆のうポリープが悪性の可能性がある場合、慎重に経過を観察するか、もしくは手術が必要になります。手術は、胃や大腸のポリープのように内視鏡で切除することはできず、胆のうを丸ごと摘出しなければなりません。全身麻酔の上で、腹腔鏡下または開腹での胆のう摘出術が行われます。

 胆のうポリープが悪性である可能性が低いと判断された場合でも、胆のうは組織検査で確定診断をつけることがなかなか難しい臓器であることから、定期的な経過観察が必要となります。ポリープが大きくなっていないか、ポリープの形状に変化がないかなどを、腹部超音波検査などの画像検査で定期的(半年〜1年に一度)にチェックするのが一般的です。


医療法人社団慈昂会 琴似駅前内科クリニック
髙柳 典弘 院長


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