2023年10月27日金曜日

帯状疱疹

 [帯状疱疹(たいじょうほうしん)について教えてください]

 帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が背骨に近い神経に長期間潜んでいて、加齢や疲労、ストレスなどにより免疫機能が低下したときに、ウイルスが再び目覚めて発症し、潜んでいた神経の領域に沿って痛みを伴う水疱(すいほう)が出現する病気です。

水疱の出現する3〜4日前から痛みが出る場合もあります。痛みはだんだんと強くなり、中には眠れないほど痛みが激しくなることもあります。一般的に50歳あたりから発症率が増加し、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。

 関節リウマチなどのリウマチ性疾患や白血病、リンパ腫、臓器移植後の患者さんなどは、病気や治療薬の影響で免疫機能が低下していることが多く、例えば関節リウマチの患者さんでは一般の方の約3倍、また治療薬としてJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬を使用しているリウマチ患者さんでは、使っていない患者さんの約3倍(一般の方の約9倍)多く帯状疱疹を発症するといわれています。

 帯状疱疹は一度発症すると抗体がつくられるので、その後はかかりにくくなりますが、時間経過とともに抗体は減っていくため、再び発症するケースもあります。

[治療と予防について教えてください]

 抗ウイルス薬を1週間服用して治療します。皮膚の症状(水疱)は約1〜2週間で良くなりますが、治療開始が遅れたり、症状を起こす範囲が広くなるなど重症化したりすると神経痛が残ってしまい(帯状疱疹後神経痛)、日常生活に支障を来すことがあります。このため、帯状疱疹に気付いたら、速かにかかりつけ医や皮膚科を受診することが重要です。

 予防には主に50歳以上を対象としたワクチンがあり2016年に生ワクチンが、18年には不活化ワクチンが承認されています。関節リウマチなどの治療薬を使っている場合は生ワクチンを接種できないため、不活化ワクチンを接種します。不活化ワクチンは、筋肉注射で1回目の接種から2カ月をあけて2回目の接種の必要があります。4年目までは約90%、10年目までは約70%の予防効果が続くとされ、費用は1回2万円前後です。帯状疱疹のリスクが高い方は、ワクチンで防げる病気なので積極的に接種することをお勧めします。


佐川昭リウマチクリニック
古崎 章 院長



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