「健康診断で血圧がちょっと高めだったけれど、特に不調もなく元気だし問題ない」と思っている皆さん、本当に大丈夫でしょうか?今回は、非常に身近で、でも、放っておくと怖い「高血圧」についてまとめました。
<高血圧はどうして怖い?>
高血圧は初期の糖尿病や高脂血症と同様、当初は症状をほとんど訴えません。
ところが、放置していると動脈硬化につながり、脳卒中の総称で知られる脳梗塞、脳出血、くも膜下出血や心筋梗塞、狭心症など命に関わる脳心血管病を突然引き起こすことから「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれています。
日本高血圧学会が2019年に発刊した「高血圧治療ガイドライン」によると、国内の高血圧の人は推計約4300万人。このうち約43%に当たる約1850万人は治療を受けておらず、高血圧との認識がない人は約1400万人に上っています。
<そもそも血圧って何?>
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力のことをいいます。血液の量や血管の軟らかさなどで決まります。心臓が収縮して血液を送り出した時の値を最高血圧、心臓が拡張した時の値を最低血圧といい、この2つを測ります。
血圧には病院やクリニックなどで測る「診察室血圧」と「家庭血圧」があり、病院などでは緊張から数値が高めになるとされています。日本高血圧学会によると、診察室で測る値の場合、最高血圧が140ミリHg以上か、最低血圧が90ミリHg以上ある場合(140/90)、治療が必要な高血圧と診断されます。家庭での値では、135/85が高血圧となります。
高血圧が続くと血管壁の内側に傷が付きます。そこから血中のコレステロールなどが入り込み、おかゆのような病巣ができて盛り上がり、血管の内側が狭くなります。血管壁は厚く硬くなり、動脈硬化が進行します。さらに病巣が傷付けば、そこに血栓が生じて血管は閉塞し、脳心血管病を引き起こす大きな要因となります。
<家庭血圧を測る習慣を>
まずは血圧を測定し、自身の状態を知ることがスタート地点といえそうです。血圧は常に変動しており、平均値を知る必要があります。このため、健康診断などの際に測定するだけでは不十分で、日本高血圧学会では、高血圧と診断されているかどうかにかかわらず、健康づくりのために家庭血圧を測定する習慣を勧めています。基本は毎日同じ時間に同じ条件で測定すること。毎朝起床後、朝食前に測るのが最適です。
家庭血圧を測る習慣をつければ、自分の血圧水準やその変化を認識することができます。実際に毎日血圧を測ると、塩辛いものをたくさん食べたり、運動不足が続いたりした時に、血圧が上がるのが分かるようになります。また、血圧がいつもより高いのに気付いた後、風邪で高熱を出したり、疲労で体調を崩したりすることもあると思います。
血圧は体内のさまざまな変化を表すサインです。健康な人でも家庭で毎日(定期的に)測ることの意義は大きいです。135/85以上が続いたら、医療機関などで診察を受けるのがいいでしょう。
ライターコラム