2022年12月22日木曜日

フレイルを予防しよう!<前編>

 ライターコラム


 2020年度から75歳以上の後期高齢者を対象に、全国の自治体で「フレイル健診」が導入されるなど、心身の衰えを早期に見つけるため、要介護になる前の状態の「フレイル」が注目されています。フレイル状態になるとどのようなことが起きるのか、また、フレイルの簡単なチェック方法などをまとめました。


フレイルは要介護の一歩手前の段階

早めの対策で、健康な状態に戻れる可能性があります。


 フレイルは、日本語で「虚弱」の意味。年を取って体が弱った状態のことで、健康な時より心身は弱っているものの、介護が必要なほどではない、という中間の段階をフレイルと呼びます。

 高齢者の身体は個人差が大きいですが、弱ってくると筋肉の量も質も低下し、筋力が衰えます。そして、「外出しなくなる→エネルギーの消費量が減る→食欲が落ちる→栄養不足になる」という悪循環が起き、生活全般が衰えるフレイルに進みます。また、フレイルは身体だけでなく、心の影響も大きいです。外出の機会が減る、一人で食事を取るなど、孤立するとうつ状態になりやすくなります。それが活力の低下を招き、身体の衰えを加速させます。

 65歳以上の高齢者のうち、フレイルになっているのは1割、約350〜400万人という推計があります。フレイルの高齢者のその後を調べた調査では、3割以上が2年後に要介護認定を受けていました。また、認知症になる可能性が高いとの研究報告もあります。

 今、フレイルに注目が集まっているのは、この時期に生活に気を付ければ、改善の余地が残されていることが分かってきたからです。年齢を重ねてフレイルになってしまっても、またコロナがきっかけでフレイルになったとしても、適切な対策を取れば健康な状態に戻れる可能性があるということです。


フレイルは簡単なテストでチェック可能


フレイル健診も上手に活用し、予防や早期ケアをどうすればフレイルに気付くことができるのでしょうか。北海道医師会地域保健部が2019年に作成した「フレイル予防手帳」では、5項目のフレイルチェック=表=を試してみることを勧めています。


■フレイルの簡易チェック表


□6カ月で2〜3kg以上の体重減少

□ペットボトルのふたが開けにくい(筋力低下)

□(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

□青信号のうち横断歩道を渡りきれない(歩行速度低下)

□軽い運動・体操、定期的な運動・スポーツをどちらも週に1回もしていない


【判定】○1〜2つ該当=予備軍(プレフレイル) ○3つ以上該当=フレイル


 2020年度から導入されている、フレイルの早期発見を重視したフレイル健診の質問票は、後期高齢者の特性を踏まえ、「1日3食きちんと食べていますか」「この1年間に転んだことがありますか」「普段から家族や友人と付き合いがありますか」といった生活習慣や身体機能、社会活動など、健康状態を把握する15項目で構成されています。質問票には、本人がフレイル予防の意識を高め、生活をより充実させるためにできることを考えてもらう目的もあります。フレイル健診を上手に活用して、フレイルの兆候がないかチェックし、予防や早期のケアにつなげてください。


※12月28日掲載予定(WEBは29日)の後編では、フレイルの予防・改善法についてご紹介します。

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