2018年8月22日水曜日

肛門周囲のかゆみやただれ

ゲスト/札幌いしやま病院 川村麻衣子 医局長

おしりの周りのかゆみやただれについて教えてください。
 おしりの周りがただれる、かゆい、ジクジクしたりヒリヒリしたり違和感がある場合は、肛門周囲の皮膚の病気が考えられます。多くは皮膚に炎症を起こしています。
 肛門周囲の環境というのは便や腸の粘液にさらされ、また通気性も悪いので、かゆくなったり炎症を起こしたりしやすいものです。かゆみや炎症を引き起こす要因としては、軟便や下痢便、便秘、ストレス、アルコールや香辛料などが挙げられますが、おしりをきれいにしようと思ってトイレットペーパーやタオルでこすり過ぎていることが皮膚炎の直接の原因となっている患者さんも多く見受けられます。ゴシゴシとこすり皮膚を傷つけ、雑菌などに感染し、さらに症状を悪くさせるというのは、肛門に限らず皮膚病を悪化させるパターンの一つです。
 近年、温水洗浄式便座が普及し、肛門周囲の衛生環境に役立っていますが、過度の洗浄は逆に皮膚を傷つけたり炎症を悪化させたりするので注意が必要です。強い水流で長く洗うと、肛門の粘膜を傷つけるばかりでなく、雑菌などから皮膚を守ってくれるバリア機能も低下するからです。
 そのほか、痔核(いぼ痔)やカンジダなどの真菌というカビの種類の菌の感染といった、ほかの病気が隠れている場合もあります。的確な診断が必要となりますので、自己判断せずに専門病院を受診してください。

どのような治療がありますか。
  医師の処方する塗り薬や飲み薬で、数日で快方に向かうことがほとんどですが、治療で最も重要なことは、日常生活でのおしりのケアです。肛門の清潔を心掛けるのはもちろんですが、前述の通り、きれいにしようと思ってこすり過ぎることは厳禁です。温水洗浄式便座は、水圧を一番低く設定し、5〜10秒以内の短時間で洗浄することをお勧めします。最初は物足りなさが残るかもしれませんが、これらが習慣になると、それで十分だと思うようになってくるでしょう。
 市販薬など手持ちの軟こうを塗っておくという人も多いですが、肌や体質に合わないものを塗ると逆効果。かぶれたり、さらにかゆくなります。おしりは今後一生において、毎日使う場所。おしりの悩みは、すぐに専門医に相談して解消することが大事です。

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