2017年11月1日水曜日
パニック障害
医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 丸尾 聖爾 医師
パニック障害はどのような病気ですか。
パニック障害では、思い当たる原因がないのに突然、たとえようのない不安に襲われ、動悸(どうき)や呼吸困難、吐き気、めまい、手の震えなどの症状が現れます。本人は「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖感を感じることもあります。こうした発作(パニック発作)は繰り返し起こりますが、なぜ発作が起きたのか本人にもわからないため、「また激しい発作に襲われるのではないか」という「予期不安」に絶えず悩まされます。そうなると、電車、飛行機など逃げ場のない場所、デパートなどの人混み、病院や理髪店などのじっとしていなければならない場所を避けるようになり、日常生活に支障をきたすようになります。
原因はまだ十分に解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れて起こると考えられています。疫学調査では100人に1~2人が発症するといわれており、めずらしい病気ではありません。
診断や治療について教えてください。
現在、広く用いられている診断基準(DSM-5/アメリカ精神医学会)に基づいて、発作の起きる状況や具体的な症状などを問診で確認して診断を行います。症状が似ている甲状腺の病気(甲状腺機能亢進症)や呼吸器疾患(ぜんそくなど)、心疾患(不整脈)などの内科の病気を除外する必要があります。
治療法には薬物療法と認知行動療法があります。薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と抗不安薬(ベンゾジアゼピン)という2種類の薬が有効で、併用して治療を行います。認知行動療法では、パニック発作について正しく理解して、発作が起こった際の対処法を学んでいただき、曝露療法によって不安場面に少しずつ慣らしていくなどの治療を行います。
パニック障害は、決して本人の性格や気の持ちようなどで起きるのではなく、脳内の神経系の機能異常によって起きる病気です。そして、適切な治療を行えば良くなる病気です。パニック発作のような症状に悩まされている方は、出来るだけ早期に専門医を受診していただくことをお勧めします。
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