2016年12月21日水曜日
舌側矯正
ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 院長
矯正に対する最近の傾向について教えてください。
全身の健康やQOL(生活の質)にとって、咬(か)み合わせが重要な役割を果たしていることが一般の方々にも認知されるようになりました。それによって歯列のでこぼこや、上顎(がく)前突、下顎前突、さらに顎の左右のズレを気にする方が増えてきました。
先日、30代の女性から「長年、でごぼこの歯並びがコンプレックスです。矯正治療を考えていますが、装置を裏からにするか、表からにするか迷っています」と相談を受けました。この女性に限らず、同様の悩みを持つ人は多く、よくこのような相談を受けます。
咬合(こうごう)の大切さを認識し、矯正治療を受けようとする前向きな姿勢を隠す必要はありませんが、人知れずに治療したいという気持ちも分かります。特に社会人で、接客業など日常的に多くの人に接する職業の人はそう考えるでしょう。また、思春期のお子さんが矯正装置を気にする心情も理解できます。そういう場合は、舌側矯正をお勧めしています。
舌側矯正について教えてください。
舌側矯正は、歯の裏側に矯正装置を入れます。表からは装置が目に付かないので、見た目にはまったく違和感がありません。ただし、内側にあることから、表側からの矯正(唇側矯正)と比較すると装着の違和感などで劣る部分もありました。しかし、近年これらの問題点を改善した舌側矯正装置「STb」が普及してきました。
「STb」は、「ST」が大文字、「b」が小文字で表記されるのが正しく、「ST」は考案者2人の頭文字、「b」はブラケット(歯に付ける器具)の略です。「STb」は、従来の裏側に用いていたブラケットと比べると装置が非常に薄く、そして小さくなりました。それにより「話しにくい」「食事がしづらい」「舌が痛い」「歯が磨きにくい」といった今までの舌側矯正の不快感が飛躍的に改善されました。また、歯の痛みもほとんどなく、歯が早く動くともいわれており、より進化した次世代ブラケットといえます。
「STb」の登場により、話すことが多い職業の人や舌の違和感に対する不安などの理由で、舌側矯正に踏み切れなかった人も気軽に、そして快適に矯正治療が受けられるようになったと思います。ぜひ一度、専門医に相談してみてください。
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