2009年9月24日木曜日

「ピルについて」について

ゲスト/札幌駅前アップルレディースクリニック 工藤正史 医師

ピルについて教えてください。
 ピルには、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンが低用量含まれています。このホルモンは通常、女性の卵巣から分泌されているホルモンで、ピルを服用することによって、体のホルモンバランスを妊娠しているときのような状態にさせて排卵を抑制します。ピルは1日1 錠を毎日飲みます。ピルと聞くと「副作用がある」と不安になる人がいますが、多くは何も症状がないか、飲み始めに軽い吐き気、頭痛、不正出血などが見られる程度です。また「ピルを飲むと太りますか?」と聞かれますが、飲んで太るのはホルモン量が多い中用量ピルのことで、低用量ピルで太ることはほとんどありません。
 ピルは避妊の作用以外にもさまざまなメリットがあります。まず、生理周期が規則正しくなり、生理量が減り貧血を軽減します。生理痛も軽くなり、生理前の落ち込みやいらいらなどの精神症状が緩和されます。また、子宮内膜症の進行にブレーキをかけ、ニキビや多毛症の改善にも役立ちます。特に注目されるのは、卵巣ガン、子宮体ガンの予防効果で、 50%もリスクが低くなるといわれています。さらに、良性の乳房疾患と大腸ガンの発生を抑制することは、あまり一般には知られていません。加えて、生理日をコントロールすることが可能です。赤ちゃんが欲しくなったら、ピルの服用を止めれば、3ヵ月以内に90%以上の確率で自然な排卵を回復します。
 ピル服用による効果は、避妊のみならず女性の生活の質を向上させる可能性が高いのです。また札幌市の人工妊娠中絶率はどの年代でも全国平均を大きく上回っているという統計があります。

避妊に失敗した時に飲むピルもあると聞きましたが?
 この方法は、望まない妊娠を避けるために、性交が行われてから72時間以内に中用量ピルを2錠服用し、その12時間後にさらに2錠追加し、服用するというものです。最初の服用が早い方が、避妊効果は高くなります。妊娠を回避できない確率は、10~数%程度といわれています。仮に回避できない場合でも、胎児に悪影響はありません。
 副作用は、悪心嘔吐や頭痛、乳房緊満感などです。ただし、長期に続くものではありません。しかし、これはあくまで緊急避難的な方法であって、常用するものではありません。

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