2009年9月9日水曜日

「尿酸値と痛風」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口健一 医師

尿酸値と痛風について教えてください。
 尿酸値とは、血液中の尿酸という物質の量を示す数値で、異常に多い状態を高尿酸血症といいます。企業などで行う健康診断で、「尿酸値が高いので痛風に気を付けて」といわれたことがある人も多いと思います。高尿酸血症は痛風の原因で、男女ともにこの値が7.0mg/dL以上で、高尿酸血症と呼ばれます。
 痛風はほぼ男性のみに発病する疾病で、かつて美食とアルコールが原因の「贅沢(ぜいたく)病」などといわれていましたが、最近は珍しくなくなりました。中高年に多かったものが次第に若年化し、現在では30代で発病する人が最も多くなっています。
 痛風といえば、足の指が腫れてひどく痛むといったイメージがありますが、これは「痛風発作」といい、関節にたまった尿酸の結晶が起こす炎症で、足の親指の関節に最も多く、ほかに足首、アキレス腱の付け根、足の甲などにも起こります。通常は一週間程度で治まりますが、放っておくと必ず再発し、次第に複数個所に発作が出たり、ヒザや手首の関節に出たり重症化します。発作を放置し続けると、腎臓に尿酸がたまって腎不全などの原因となります。

予防や治療法を教えてください。
 高尿酸血症は、肥満、アルコールの飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどの要因が重なって起こります。日常生活では、肥満の解消やアルコール、特に尿酸値を上げるプリン体を多く含むビールを控え水を充分に飲むこと、また日常的に適度の運動を心掛け、ストレスを発散させることが痛風予防に効果的です。発症してしまった場合は、痛風発作を抑える対症療法として、消炎鎮痛剤を処方します。痛風発作が治った段階で、今度は尿酸値を下げる原因療法として、体の中で尿酸をできにくくする薬、尿の中へ尿酸を出しやすくする薬などを処方します。これらの薬は長期的な服用が必要となります。痛風発作が治まっても、痛風は生涯治療が必要な病気です。
 痛風、高尿酸血症の人は、食事の総カロリーを抑えるとともに、牛焼肉やレバー、ステーキ、カツオ、クルマエビなどプリン体の多い食物を取りすぎないことが大切です。

人気の投稿

このブログを検索