2006年11月1日水曜日

「緊急避妊ピル」について

ゲスト/産科婦人科はしもとクリニック 桑原 道弥 医師

緊急避妊ピルについて教えてください。

 通常のピルは、低用量ピルを日々定期的に内服することによって排卵を抑制し、妊娠しないようにしますが、緊急避妊ピルは無防備な性交の後に中用量ピル(ドオルトンまたはプラノバール)を飲むことで妊娠しないようにします。無防備な性交とは避妊しなかった、避妊に失敗した、レイプされたなどです。モーニングアフターピルとも呼ばれ、性交の72時間以内にできるだけ早く中用量ピルを2錠内服し、その12時間後に再度同じ薬を2錠内服します。120時間までであれば避妊効果はあるようですが、その効果は減弱するようです。
 この避妊法は受精卵が着床してからでは効果はありませんから、避妊法として確実ではありません。無防備な性交の後に緊急避妊ピルを72時間以内に内服した場合の妊娠率は3%前後という報告があります。ただし、排卵周辺期(排卵5日前頃~排卵日)に限れば、妊娠の可能性を75%減らす程度との報告があります。

副作用はありますか?

 副作用として、最も多い症状が吐き気です。およそ半数の人に現れます。食後の内服や就寝時に牛乳などとともに内服することで発現率が減少します。そのほかに、倦怠(けんたい)感、下腹部痛、頭痛、嘔吐(おうと)、めまい、乳房緊満感などがあります。内服後2時間以内に嘔吐した場合は、できるだけ速やかにもう一度同量の薬を内服する必要があります。内服が困難な場合は膣内投与という方法もあります。2時間以上経過していれば薬は十分吸収されていますので、追加投与の必要はありません。
内服のタイミングによっては、排卵の遅延が起こることがあります。この場合、内服後に妊娠する可能性があります。避妊が成功した場合は、内服後早ければ3~4日、遅くても3週間以内に月経が起こりますので、それまでは他の方法で避妊をしてください。
内服後3週間たっても月経が来ない場合は、妊娠の可能性があります。妊娠してしまった場合に、緊急避妊ピルが胎児に悪影響を及ぼすという報告はありません。

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