2003年1月8日水曜日

「歯列の成長」について

ゲスト/北大前矯正歯科クリニック 工藤 章修 歯科医師

年齢による歯列の注意点について教えてください。

 歯科的な発育年齢は、乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期の3期に分類されます。乳歯が生え揃う2歳半から6歳半ころまでの乳歯列期に、矯正治療が必要になることはほとんどありません。ただ、犬歯のズレによる噛(か)み癖、犬歯が伸び過ぎるなどの原因で、反対咬合(こうごう)や、顎(あご)が横にずれて噛んでしまうことがあります。また、乳歯のうちに虫歯が出来て抜歯した場合、後から生える永久歯が、本来の位置とずれて生える可能性もあります。乳歯から永久歯に生え替わる7歳から14、15歳ころまでを、混合歯列期といいます。8歳ころまでの前半は、永久歯が横や上など、異常な位置から生えてくることがあります。下の前歯が重なり合うことも多いと思いますが、大抵の場合は時間とともに本来生えるべき位置に落ち着きます。ただ、前歯の咬(か)み合わせが反対だったり、上下の顎が左右にずれているなどの場合は、専門医に相談してください。

一般的に矯正治療を始めたらよい時期はいつですか。

 歯列矯正に最も適した年代は、混合歯列期、すなわち7歳から14、15歳ころです。歯が生え揃い、顎の大きさと歯の大きさのバランス、歯並びの異常が顕著になります。上顎(がく)前突症(出っ歯)の場合では、上顎の発育を抑制し、下顎の発育を促す矯正治療をします。また、受け口の場合は下顎の成長を抑えることもできます。八重歯や歯並びがガタガタの場合も、この時期なら極力抜歯をせずに矯正できます。混合歯列期は、顎と歯のバランスを整えるのに一生で最も適しているのです。この時期に良い専門医に巡り会うことは、とても重要なことです。以後の永久歯列期に入ってからも治療は可能ですが、年齢が高くなるにつれて顎の発育を利用する治療は難しくなり、抜歯や外科手術を併用することが多くなります。咬み合わせを悪いままにしておくと、歯周病や顎(がく)関節症の原因になることもあります。歯並びに不安があるときは年齢にかかわらず、一度矯正専門医を訪ねることをお勧めします。

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