2003年1月22日水曜日

「オルソケラトロジー」について

ゲスト/青木眼科 大橋 勉 医師

オルソケラトロジーについて教えてください。

 近視や軽い乱視を矯正する治療方法で、従来のやり方とは全く異なります。特殊な高酸素透過性コンタクトレンズを就寝中に着用し、角膜を矯正する、いわば角膜を癖付けする治療方法です。起床後にレンズを外しても、角膜に癖が付いていて、近視や乱視が軽減した状態を保つことができるのです。この治療の最も大きな特徴は、コンタクトレンズの使用を中止すれば、1~2日で角膜が元の状態に戻ることにあります。この可逆性が、角膜を削るレーザー手術などと根本的に違う点です。ただ角膜に癖付けするため、うまく癖付けができないと明るい光を見た時、光が散乱して見えたり、視力低下を感じることがあります。

治療の条件やリスクはありますか。

 オルソケラトロジーは、アメリカの国立眼科研究機関によって研究・施術された治療法で、約30年間にアメリカを中心に、中国、台湾、韓国などでも急速に普及しています。日本で施術され始めたのは、ごく最近です。レンズの性能が飛躍的に向上し、目への負担が軽減されるようになったからです。この治療法が広まった理由の一つとして、レーザー手術のように角膜を傷つけることが無く、近視と軽度の乱視を矯正することができる点が挙げられます。レーザー手術によって角膜を削る治療方法に不安のある人、レーザー治療を受けられる年齢に達していない人、激しいスポーツをする人、日中メガネやコンタクトなどの煩わしさから解放されたい人、裸眼で視力が必要な職業の人などにとっては、比較的適した治療法といえるでしょう。また、近視が進行中の子どもさんには近視を矯正し、進行を抑える効果があるといわれています。しかし強度の近視の場合は効果が得られないケースもありますし、長期にわたる目に対する影響は分かっていないのが現状です。また、健康保険の適用外の治療になりますから、オルソケラトロジーに関心のある人は、専門医によく相談してください。医師の指示に従っていれば、まず危険はありませんが、眼科医の間でも賛否のある治療法なので、自信が納得できるまで検討し、信頼できる医師の元で施術することをお勧めします。

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