2002年7月24日水曜日

「いろいろな外傷」について

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林淑人 医師

日常生活で負いやすいケガについて教えてください。

 指を切ってしまった場合ですが、指は顔や頭と並んで血行の良い部位ですので、わずかな切り傷でも思いのほか出血します。出血は、ガーゼなどで患部を圧迫するように押さえるとしばらくして止まりますが、指は常に使うものですので、早く治すためには、明らかに傷が浅い場合を除いて縫合することをお勧めします。傷が非常に深く、神経を傷つけてしまった場合、部分的な損傷ならある程度の回復は望めますが、神経が一度完全に切断されると、後遺症としてしびれや感覚の鈍さが残ることも考えられます。傷口部分より先端にしびれや違和感を感じた場合は、早めに医師へ相談してください。擦り傷の場合は、傷が浅ければ消毒と外用薬で治りますが、屋外で転倒し、顔や膝(ひざ)を擦りむいた場合は注意が必要です。傷が深いと、細かい砂が中に入り込み、入れ墨のように跡が残ってしまうことがあります(外傷性刺青=しせい=)。ケガをした後は速やかに病院で傷をよく洗浄し、ガーゼやブラシで砂をこすり落とすことが大切です。幼少時に受けた傷により、成長後も外傷性刺青が消えない例も多くあります。外傷性刺青が残ってしまった場合には、レーザー治療も有効です。また、治ったばかりの赤い傷跡は、紫外線の影響を受けやすく、色素沈着を起こしシミになってしまうこともありますので、顔の場合は要注意です。日焼け止めクリームをこまめに塗る、遮光テープを張るなどの予防をお勧めします。

犬にかまれたというケガも多く聞かれますが。

 野犬、飼い犬を問わず犬の口の中には細菌が多く、かまれると傷の奥深くまで細菌が侵入します。犬にかまれたくらいという素人判断は危険です。放置すると感染を起こし、膿(うみ)が患部にたまって周辺まで腫(は)れ上がり、患部のある腕や足全体が腫れることもあります。病院で傷口を洗浄し、細菌を洗い流すことが大切です。また、安易に縫合すると細菌を閉じ込め、化膿する危険があるので、大きな傷の場合を除いて縫合はしないのが基本です。

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