2002年4月24日水曜日

「虚血性心疾患~狭心症と心筋梗塞」について

ゲスト/朝日内科クリニック 富田文 医師

狭心症について教えてください。

 狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈という血管が、動脈硬化などにより狭くなったり、詰まったりした結果、心筋に血液が不足して発症する病気です。狭心症には、歩行や階段を上るなどの運動時に発症する労作性狭心症と、安静時に起こる安静時狭心症があります。労作性狭心症は、労作(運動)により心臓の仕事量が増えた際、狭くなっていた血管から必要量の血液が供給されず、左前胸部の圧迫感や痛みなどの発作に襲われる症状をいいます。安静時狭心症は、冠動脈がけいれんする冠攣(れん)縮によって虚血となるもので、夜中や朝方に多く、動脈硬化が軽度であったり、特に危険因子のない場合でも起きることがあります。

心筋梗塞(こうそく)について教えてください。

 心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まって血液が供給されなくなり、心筋が部分的に壊死(えし)する病気です。発作は、狭心症が5分から、長くとも20分なのに対し、心筋梗塞は30分以上持続し、より激しい痛みや吐き気・嘔吐(おうと)などを伴います。発症後、時間の経過とともに心臓へのダメージが大きくなるので、早期の治療が大切です。治療には、詰まった冠動脈を広げて血流を再開させる再灌(かん)流療法があり、発作から6時間以内に行えば、壊死する範囲を狭めることが可能です。壊死した範囲が狭ければ、ほかの部位心筋が補うことにより心臓の機能低下を防ぎ、治療後の早い回復が望めます。

虚血性心疾患の治療と予防について教えてください。

 前述の再灌流療法には、冠動脈を風船で広げる風船療法や、静脈に薬剤を注射して血栓を溶かす方法があります。ほかの血管を使って迂回(うかい)路を作り、血液の流れを回復させる冠動脈バイパス手術も有効です。狭心症の場合、症状によっては薬物療法も考えられます。虚血性心疾患は生活習慣病の一つですので、予防や治療には食事や喫煙などの生活習慣の改善が大切です。糖尿病、高血圧など危険因子のある方で、日常生活で心臓に違和感や痛みを感じる場合は、専門医への相談をおすすめします。

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