2002年4月17日水曜日

「増える性感染症」について

ゲスト/札幌東豊病院 南邦弘 医師

最近、性感染症で受診する人が増えているそうですが。

 特に若い女性の受診が多く、淋(りん)病やケジラミなども見られますが、圧倒的に多いのは性器クラミジア感染症です。クラミジアというのは、ウイルスと細菌の中間くらいの大きさの病原菌で、主に性行為によって感染します。男性が感染すると多少の症状が出ますが、女性の場合、ほとんど自覚症状がありません。これが、クラミジアをまん延させる最大の要因です。症状が無いからといって、放置しておくと女性の場合、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などを引き起こす場合もあり、不妊症の原因にもなります。また、妊娠した場合、出産時に母子感染する可能性があるため、札幌市内のほとんどの産科では妊娠時に感染の有無を検査しますが、地域、病院によっては検査しない所も多いので、一度検査を受けることを強くおすすめします。実際に感染していても、症状が進行していなければ、抗生物質を2週間程度投与すれば完治します。若い人の場合、途中で薬をやめてしまい、治り切らないことも多いのが実状です。性感染症である以上、男女いずれか一方が感染していたら、パートナーも感染している可能性が大です。必ず、男女一緒に治療してください。

クラミジア以外で増えているものはありますか。

 性感染症すべてが増えています。特に若年層に顕著で、先進国でこんなに増えているのは日本くらいではないでしょうか。中でも心配なのは、ヒトパピロマウイルスの感染です。これは、米粒のようなイボがびっしりできる尖圭(せんけい)コンジロームという感染症の原因となるウイルスですが、最近の研究で子宮頚(けい)ガンの原因の一つであることがわかってきました。子宮ガンには子宮体ガンと子宮頚ガンの2種類がありますが、頚ガンは若年層で発症する人が増加しています。子宮ガンについては、20代になったらガン検診を積極的に受けてください。早期発見、早期治療ができれば、ほぼ完治するガンです。その後の妊娠や出産も可能です。いずれにしても、性感染症にはコンドームの利用が効果的な予防策です。

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