2012年3月7日水曜日

職場のメンタルヘルス

ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 橋本 真一 医師


職場におけるメンタルヘルスについて教えてください。
 平成10年以降、自殺者総数が3万人を超えるという事態が続く中で、労働者の自殺者数も高い水準で推移しています。日々の診療の中で、仕事上のストレスを抱えて、うつ状態になっている方が増えていることを実感します。以前は、過重労働(長時間労働)によるうつ状態、近年は、従来の概念では捉えきれないうつ病、いわゆる“現代型うつ”の症状で受診される方が目立ちます。
 身体疾患と同様に心の病気も、早期発見・早期治療が重要です。初期対応が遅れると、病状が悪化し、治るまで長期化することもあります。ところが多くの企業では、メンタルヘルスの不調者に対し、必ずしも適切に対応できているとはいえず、職場復帰に関してもさまざまな問題が起きているケースがみられます。回復状況はどのくらいか、出社に耐えられるかどうかなど、それぞれの事例を正確に評価、把握できていないことが主な理由で、会社の規模にもよりますが、産業医がうまく機能していないことが大きな課題として挙げられます。
 うつ病に対する正しい知識と対処方法が、職場でますます求められるようになっています。組織としてはストレスケアと啓発教育、産業医が機能する体制の整備など支援強化を重視する必要があります。

職場のメンタルヘルス対策について教えてください
 働く人やその家族、上司や管理職などの企業側、双方がメンタルヘルスに気を配ることが大切です。セルフケアとしては、例えばよく眠れない、食欲がないなどの状態が2週間以上続いている場合は、うつ病など心の病気のサインである可能性がありますので、社内の産業医に相談する、または外部の専門医療機関を受診することをお勧めします。上司など管理職の立場であれば、日ごろから部下に対する観察、気付き、声掛けなどが必要です。遅刻や欠勤が増える、元気がない、不注意からの失敗が増えるなど、目に見えて変化が分かるサインが多くあります。ストレスのサインを見つけたら、管理職から歩み寄り、社員と面接し、必要なら社内外の専門機関への相談を勧める必要があります。
 職場のメンタルヘルス対策のために、企業の立場に立った支援、助言をしてくれる機関に各都道府県の「産業保健推進センター」「地域産業保健センター」がありますので、これらを利用するもの一つの手です。