2007年6月20日水曜日

「ストレスと対処方法」について

ゲスト/五稜会病院 千丈 雅徳 医師

ストレスについて教えてください。

 精神的に負荷がかかることを「ストレス」といいます。精神を安定させたいと思う本能に反し、「ゆがみ」で心身にさまざまな反応が生じます。ストレスの原因は環境や人間関係、経済的、物理的なものまでいろいろあります。ストレスが蓄積すると、イライラや無気力、食欲不振、不眠、うつなどの精神的な症状、高血圧、胃潰瘍(かいよう)など身体的な症状が現れます。
 しかし、ストレスが無ければいいというものではありません。多くの人は日常的にストレスにさらされて生きています。ストレスがまったく無く、平穏で退屈な生活は、挑戦する意欲や困難を乗り越える喜びを感じることができません。人間は適度なストレスと向き合うことによって、刺激や緊張が生じ、張り合いや生きがいをもって毎日を過ごすことができるのです。大切なのはストレスといかに上手に付き合うかということです。

ストレスの対処方法を教えてください。

 ストレスによる心身の不調で受診した場合、安定剤などの投薬治療のほかに、悩みを分かち合うカウンセリング、対人交流のスキルアップを目指しての認知行動療法などを行います。認知行動療法では、どういうときにどういった心理状態になるかを自身で認識するため、日記をつけるなどして、感情のコントロールを身につけます。
 また、全国的な傾向として40~50代の男性患者が多くなっています。その背景には失業、リストラなど仕事や経済的な不安、将来への不安があります。失職あるいは休職している場合は、パソコン操作などスキルアップをサポートしつつ、同じ悩みを抱える者同士で話し合うなどの復職プログラムを行っています。エアロビクスやウオーキングなどの運動療法も心身の健康を取り戻すのに効果的です。このようなプログラムを実践している病院は、全国的に増加傾向にあります。回復のためには、医師や専門スタッフなどのアドバイスやサポートを上手に利用し、ストレスに対処する能力を身につけることが大切です。

2007年6月13日水曜日

「睡眠時無呼吸症候群と顎(がく)変形症」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について教えてください。

 SASとは、眠っている間に、10秒以上の呼吸停止を繰り返し、深い睡眠がとれない病態をいいます。気道の閉鎖によっておこり、原因はへんとう肥大、アデノイド、気道に舌が落ち込む、舌が大きい(巨舌症)、下顎(あご)が小さいまたは後退している(小顎症、下顎後退症)などが考えられます。
 症状としては、いびきがうるさい、寝ているときに呼吸が止まり熟睡できない、そのため昼間に睡魔に襲われるなどです。昼に眠いと居眠り運転につながり、2003年にはSASが原因で山陽新幹線の事故がありました。また生活習慣病と合併する場合が多く、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」にSASが加わると「死の五重奏」といわれることがあります。重症の場合、合併症のために約4割の人が9年以内に亡くなってしまうというデータもあります。このように、放置しておくと命にかかわる怖い病気です。

治療方法について教えてください。

 気道が閉鎖しないように、鼻にマスクを着けて空気を送り気道を広げる方法、へんとう肥大、アデノイドの場合はとってしまうなどの方法がありますが、根本的な治療法ではありません。
 矯正歯科の立場から、主に下顎後退症(小顎症)について説明します。下顎後退症は文字の通り、下顎が後ろにある状態で、気道が狭くなり、SASの原因となります。根本的な治療法としては、引っ込んでいる下顎を前に出す外科手術を行います。顎を手術しただけでは、きちんと歯がかみ合わないので、手術前後に歯をかみ合わせる矯正治療が必要になります。手術自体は比較的簡単なもので、口の中から行うので顔に傷がつくこともありません。
 下顎後退症は、反対咬合(こうごう)、上顎前突、開咬、顎偏位などの顎変形症と同様に、外科治療、矯正治療ともに健康保険が適用されます。ただし、道・市町村から指定を受けている医療機関でのみ保険適用になるので、受診の際は確認すると良いでしょう。

2007年6月6日水曜日

「肌のアンチエイジング」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師

「アンチエイジング」について教えてください。

 日本語では「抗老化」という意味です。加齢や老化による衰えをできる限りコントロールし若々しい人生を送ろうという「予防医学」の見地からも注目が集まっています。
  肌に関するアンチエイジングは、さまざまなレーザー治療や光治療などが中心となります。近年のレーザー治療は、周囲の正常な組織に影響を与えることが少なく、出血や傷あとを最小限に抑えて異常な細胞だけを破壊し、選択的に除去していくことが可能になってきています。しかし、すぐにシミやあざが薄くなったり消えたりするわけではなく、繰り返し治療が必要になる場合もあり、治療後の適切なケアも重要です。

それぞれの治療について教えてください。

 シミやあざには、ルビーやアレキサンドライト、ヤグといったQスイッチ型レーザーが使われます。これらはそれぞれ特徴があり、単独よりも組み合わせで行うことでより治療効果が高まります。老人性色素斑や扁平(へんぺい)母斑などの茶あざ、太田(おおた)母斑や異所性蒙古斑などの青あざ、いれずみの除去などがその適用となります。単純性血管腫(しゅ)やイチゴ状血管腫などの赤あざには、血色素に吸収される特徴を持った色素レーザーが使われます。ただし、すべてのシミやあざについてレーザー治療ができるわけではありません。たとえば主に女性ホルモンの影響でできる肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミは、レーザー治療によって濃くなる可能性が高いため、レーザーよりマイルドなフォトセラピーという光治療が効果的です。フォトセラピーは赤ら顔、小じわ、毛穴の開きなども同時に改善される総合的な治療で、絆創膏(ばんそうこう)などの保護も必要なく治療後、すぐにメイクや洗顔も可能です。
  ホクロやイボには、主として炭酸ガス(CO2)レーザーが使われます。水に吸収されるレーザー光で、周辺組織へのダメージは少なく、ホクロやイボの組織を蒸散させます。また、皮下の線維芽細胞を刺激することで皮膚の弾力に必要な真皮層のコラーゲンを増生させ、小じわや毛穴の開きを改善するレーザー治療もあります。ほかにも、黒い色素だけに反応する特殊な特性を利用して毛に多く含まれるメラニン色素に反応させ、毛根や毛包にダメージを与え発毛しづらくさせるのが医療レーザー脱毛です。
  これらは、設備の整った病院で専門的な知識を持つ医師のもと、症状に合った正しい治療を受けることをお勧めします。

2007年5月23日水曜日

「直腸膣壁弛緩(ちつへきしかん)症と便秘」について

ゲスト/札幌いしやまクリニック  樽見 研 医師

直腸膣壁弛緩症とはどのような症状ですか?

 直腸に起因する、女性特有の排便障害です。排便時に息むと、直腸と膣の間の壁(膣壁)が、膣方向へポケット状に膨らみ、便が引っ掛かって通りが悪くなります。このポケットを直腸瘤(りゅう)といい、息めば息むほど膨らんでしまいます。症状は肛門の直前で便が止まってしまう、肛門の周りを指で圧迫(補助排便)しないと便がでない、残便感がある、習慣的に下剤を使用しているなどで、ひどい便秘の人は直腸膣壁弛緩症の疑いがあります。原因としては、生まれつき膣壁が薄い、出産による膣壁の広がりや加齢による筋肉の衰えなど、先天的、後天的、両方の原因が考えられます。排便時に息む習慣がある人も注意が必要です。症状を訴える人の多くは中高年ですが、まれに若い女性にも起こりえます。

検査法、治療法にはどのようなものがありますか。

 まずは触診で、ポケットの有無は確認できます。ポケットの大きさを測定し、排便機能の異常を客観的に診断するには、バリウムを注入し、排便動作をレントゲンで撮影する排便造影検査を行います。治療法としては、まず食事や生活習慣の改善により、便秘を解消することです。便が柔らかくなれば排便がしやすくなります。食物繊維を多く含んだ食事を規則正しく摂取し、とくに朝食後は、数分~数十分で便意が訪れることが多いので、決まった時間にトイレに入る習慣を身に付けましょう。便意を感じた時に排便をしないと、やがて便が直腸にきても便意を感じなくなる習慣性便秘につながります。毎日歩くなど日ごろから運動することも心掛けましょう。それでも改善しなければ、下剤を使用する方法もあります。
  しかし、ポケットが大きいと、通常の便秘治療では排便障害は改善されません。症状が改善されなければ、約10日間の入院で、手術によってポケットを縫い縮める方法も有効です。ポケットそのものは良性疾患ですが、習慣的に下剤に頼っていると、大腸がんなどの病気を見落とす危険もあります。便秘で悩んでいる人は、原因を知るためにも、一度専門医に相談することをお勧めします。

2007年5月16日水曜日

「歯科金属アレルギー」について

ゲスト/庄内歯科 庄内 淳能 歯科医師

歯科金属アレルギーについて教えてください。

 アレルギーを持っている人にとって、春は症状が出やすく、憂うつに感じている人も多いのではないでしょうか。特に最近増えている金属アレルギーは、汗や体液によってアクセサリーなどの金属が溶け出し、肌に炎症を起こすため、暖かくなる今ごろから症状が出やすくなります。
 一般にはあまり認識されていませんが、歯科治療で用いた金属の冠や支台が原因となって起こる歯科金属アレルギーもあります。手のひらや足の裏に小水疱(しょうすいほう)や膿疱(のうほう)が繰り返し生じる「掌蹠(しょうせき)膿疱症」は、水虫と間違われやすいのですが細菌は発見されず、実は虫歯などの治療に用いた金属によってひき起こされている場合があります。歯科金属アレルギーは、長年の間に口腔(こうくう)内で金属が溶け出し、イオン化した金属が体内に蓄積され、一定量を超えた時にアレルギー反応となって現れるため、原因としてすぐに思い至らないこともあります。また、アトピーに似ているが食べ物に反応が出ない偽アトピー性皮膚炎、肩こりなどの不調がある不定愁訴などの原因が歯科金属アレルギーであることもあります。

診断方法や治療法を教えてください。

 金属アレルギーの有無はパッチテストで判定できます。パッチテストは保険が適用できます。金属アレルギーがあった場合、とりあえず歯の金属冠をはずして様子をみます。本来は症状がなくても、金属を口腔内に入れず、代替のオールセラミックやハイブリッドセラミックを歯冠修復に使用するのが理想的です。しかし、保険が適用にならないため費用が高騰し、すべての歯科金属を排除するのは現実的には困難です。小臼歯と前歯については、プラスチックの一種である硬質レジンを保険適用で使用することができます。
 いずれにしても、金属アレルギーの傾向があり、原因不明の皮膚炎や症状に悩まされている人は、一度歯科金属アレルギーに詳しい歯科医を受診し、原因を特定することをお勧めします。

人気の投稿

このブログを検索