<中高年が注意したい睡眠障害について教えてください>
人生のおよそ3分の1を占めるとされる「睡眠」ですが、日本人の4〜5人に1人が睡眠に悩みを抱えているといわれています。年齢を重ねるにつれて、〈寝付けない〉〈何度も目が覚める〉など不眠症に悩まされる方が増えますが、睡眠中の呼吸トラブルの一つ「睡眠時無呼吸症候群」や、睡眠中に体や体の一部が動いたり、声を出す「レム睡眠行動障害」もよくみられる睡眠障害の代表格です。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まる状態が断続的に繰り返される病気です。「いくら寝ても、疲れがとれない」、「頭がぼんやりする」などの症状があり、放置していると日中の眠気のため集中力が低下し、重要な会議で眠ってしまったり、クルマを運転する際は交通事故のリスクが高まったりします。また、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が一般の人より高く、糖尿病や高血圧、不整脈、うつ病など精神疾患の原因にもなります。そのため早期の診断、治療が大事です。
睡眠時無呼吸症候群の診断は、自宅で呼吸状態を測定する簡易検査を行い、睡眠時無呼吸が疑われると1泊2日の入院検査「睡眠ポリグラフ検査」で、脳波、心拍数、呼吸、血中酸素濃度などを調べます。症状の程度により治療法は変わってきますが、中等症以上の患者さんに対しては、寝る際に酸素マスクのようなものを顔に取り付け、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込んで、気道を広げて睡眠中の無呼吸状態を防ぐ「CPAP(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)」が第一選択となります。
一方、レム睡眠行動障害は睡眠時(夢を見るレム睡眠時)に、夢体験がそのまま寝言や行動となって現れ、突然「うわーっ」「助けて」と大声を上げたり、腕や足を激しく動かしたりする症状がみられる病気です。レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症やパーキンソン病の初期症状として現れることも多く、注意が必要です。診断には、睡眠時無呼吸症候群の場合と同様に睡眠ポリグラフ検査が必要です。治療としては、薬物療法(抗てんかん薬など)が有効です。
睡眠の悩みは、放っておいても良くならず、生活の質を大きく損ないます。日本睡眠学会から認定を受けた、睡眠医療に詳しい専門医の受診をお勧めします。
特定医療法人社団 慈藻会
平松記念病院
佐川 洋平 睡眠医療センター長
クリニック北海道WEB版 https://www.clinichokkaido.net/
