<胃アニサキス症とはどのような病気ですか>
アニサキスは、本来海産哺乳類(クジラやイルカ)の消化管の中に生息する線虫です。海水中で卵が孵化し、オキアミに食べられて幼虫(第3期)となります。これを海産魚やイカが食べると幼虫のままですが、海産哺乳類が食べると体内で成虫となります。人間がカツオ、イワシ、サンマ、スルメイカなどを生で食べると、人間の体内はアニサキスにとって好適な環境でないため成虫にはならず、消化管の粘膜(胃壁や腸壁)にもぐり込みます。
その結果、激しい腹痛・胃痛をきたす胃アニサキス症を発症します。国内のアニサキス症の原因食品は、サバ類が最も多く、これ以外では北海道から東北ではサケ類、イカ類、サンマなど、関東や西日本ではイワシ類、カツオ類などが報告されています。
アニサキスは、冷凍や加熱で死滅します。70℃以上では瞬時に死滅し、−20℃以下で24時間以上冷凍すると感染性を失います。しかし、酢には抵抗性があり、シメサバのように一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても死ぬことはありません。
<症状と治療について教えてください>
典型的な症状は、アニサキスの感染している食品を食べた2〜8時間後に起こる激しい腹痛・胃痛です。ひどい時は悪心嘔吐、吐下血、じんましんやアナフィラキシー症状(急激な呼吸困難や血圧低下など)をきたすこともあります。
近年、アニサキスに対するアレルギーが症状に関与していることがわかり、症状の強さで軽症(緩和)型と劇症型に分けられます。初感染の場合は異物反応にとどまるため、軽症で経過することが多いですが、過去に感染して感作されている人は、再感染で強い即時型過敏反応を起こして劇症型となります。初めてのアニサキス摂取では無症状でも、2回目以降から過敏反応を起こす可能性が高く、特に一度胃アニサキス症として過敏反応を起こしている人は要注意です。
治療は、現在のところ幼虫に対して効果的な駆除薬はありません。症状や病歴などから胃アニサキス症状が疑われる場合、内視鏡検査で虫体を発見し、鉗子で摘出するのが一般的です。その後も腹痛などの症状が持続するケースでは、虫体の分泌物による局所のアレルギーが原因となっている可能性があるので、症状の程度に応じてステロイドの内服や点滴を行います。
医療法人社団慈昂会
琴似駅前内科クリニック
髙柳 典弘 院長
