2025年3月10日月曜日

北海道の花粉症と後鼻漏

<北海道の花粉症について教えてください>

 春はダニアレルギーと花粉症の季節です。北海道の花粉症、特にシラカバは、4月中旬〜5月下旬がピークです。本州に多いスギ花粉はわずかで、ハンノキ、シラカバなどカバノキ科の花粉症が主体です。その頃には鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの花粉症の症状とともに、せきが長く続いて来院される患者さんが増えてきます。

同時に、ぜんそく患者さんの中にもせきや、息を吐くときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする喘鳴が現れたり、鼻炎の症状を伴ったりする患者さんが多くなります。ダニも花粉もぜんそくや鼻炎といったアレルギー性の疾患を悪化させる原因物質(アレルゲン)です。鼻と気管支は空気の通り道として一つにつながっているので、ダニアレルギーや花粉症の悪化の程度と、ぜんそく症状は密接に関連しているのです。

 春になり、花粉症などのアレルギーの症状、発熱やレントゲンでの異常がないのにせきが長く続いていることでお悩みの方は、呼吸機能検査や血液検査などでアレルギー素因を持っていないか、ぜんそくをもっていないかを調べてみることをお勧めします。原因を特定し、それに合った治療を受けることが大切です。

 また、鼻水がのどの奥に流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」がせきを誘発することもあるので注意が必要です。


<後鼻漏について教えてください>


 鼻炎による鼻汁が前に流れて出てくるのがいわゆる鼻水で、のどの後ろ側に流れ落ちるのが後鼻漏です。だれでもある程度の鼻汁はのどに流れていきますが、その量が増えたり、粘性が高まって濃くなったりすることで起きます。たんが絡んだせきが出る、たんがのどに張り付くなどが主な症状です。

 後鼻漏の原因はさまざまですが、鼻の周囲にある副鼻腔で炎症が起きる急性副鼻腔炎や、慢性的に副鼻腔に炎症がおき、膿がたまる慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があります。アレルギー性鼻炎、風邪によって引き起こされることが多く、せきぜんそくや気管支ぜんそくを合併しているケースも少なくないです。

 原因が分かれば、その疾患を薬などで治療することで症状の軽減や消失を期待できますが、後鼻漏を伴うぜんそくなどでは、治療に伴い喘鳴は早めに良くなりますが、後鼻漏によるたんのからんだせきの症状は数カ月単位で続く場合も多く、治療に難渋することがあります。根気強い治療が必要です。




医療法人社団 大空会
大道内科・呼吸器科クリニック
大道 光秀 院長

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