<COPDとはどのような病気ですか>
COPDは、日本語で「慢性閉塞性肺疾患」を意味します。タバコの煙をはじめとする有害物質を長い期間吸うことによって気管支に炎症が起きたり肺が壊されていく病気です。
だんだんと呼吸機能がおちていき、身体を動かした時に息切れを起こすなど、日常生活に支障が出てきます。肺炎や心不全などの合併症を引き起こすことも多く、重症化すると命にかかわるケースもある怖い病気です。
40歳以上でタバコを吸ったことがある方、せきやたんが出たり、ゼーゼーしたりすることがある方、階段や坂道をのぼる時や湯船に浸かった時、雪かきの作業時などに息切れを起こす方、かぜ症状を繰り返したり、治るまでに時間がかかる方などは、COPDの発症が疑われます。
厚生労働省は日本に住む一人ひとりの健康を実現するために展開している国民の健康づくり運動「健康日本21(第三次)」の中で、COPDについて認知度向上とともに「発症予防」「早期発見・治療介入」「重症化予防」といった総合的な対策を講じていくことが必要だとしており、2032年までに人口10万人当たりのCOPDによる死亡者数を13.3人から10.0人まで約25%減少させるという目標を掲げました。日本呼吸器学会でもCOPDに対しての取り組みに日差しが降り注ぐことを期待し、死亡率減少プロジェクト(通称:木洩(こも)れ陽(び)2032)を立ち上げ、これに取り組んでいます。
<診断と治療について教えてください>
呼吸器内科では、胸部レントゲン写真・CT写真などを用いてCOPDを正確に診断することができます。一度低下した肺の機能を完全に元の健康な状態に戻すことは、現時点では難しいです。しかし、適切な治療を受けることで症状を和らげたり、進行を遅らせたりすることができます。そのためには早期発見と早期治療が大切です。
治療はまず、COPDを増悪させるものに対する対策(禁煙、ワクチン接種、手洗い、口腔ケアなど)が重要になります。
治療薬は、狭くなった気管支を拡げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」が用いられます。薬による治療のほか運動療法(筋肉トレーニングやストレッチなど)、栄養療法などを組み合わせることで、病気の進行抑制や生命予後の改善が期待できます。
呼吸困難などの症状に心当たりのある人は、年のせいだからなどと放っておかずに、早めに呼吸器内科に相談してください。
医療法人社団
大道内科・呼吸器科クリニック
北田 順也 副院長