2024年10月11日金曜日

ぜんそくとアレルギー性鼻炎の合併について

<ぜんそくとアレルギー性鼻炎の関係について教えてください>


 ぜんそくは、呼吸時に空気の通り道となる気道が炎症を起こし狭くなり、ちょっとした刺激にも敏感に反応してしまう呼吸器疾患です。繰り返し起こるせき、ぜん鳴、呼吸困難などが主な症状です。

 ぜんそくの原因はさまざまですが、アレルギー性鼻炎との関連は従来から指摘されています。わが国において、ぜんそくに合併するアレルギー性鼻炎の頻度は、最近行われた調査によると、15歳以上のぜんそくでは約67%でした。また別の調査ですが小児ぜんそくでは約75%と報告されています。年齢を見ると若い人の方が合併率が高くなり、加齢とともに低くなる傾向があります。

 ぜんそくとアレルギー性鼻炎は、共通点が多いことがいわれています。アレルギーは、体内に侵入した異物を退治する免疫の働きによって起きる反応です。一般には免疫グロブリンE(IgE)が主役を演じるタイプを指します。ぜんそくもアレルギー性鼻炎もこの反応によるものです。また、ダニやハウスダスト、犬や猫の毛、花粉など共通する抗原が多いのも特徴です。さらに口・鼻からのどの上気道でも、気管から肺の下気道でも、好酸球などの炎症細胞が気道を浸潤することが、炎症の発症に深くかかわっていることも共通しています。こういったことから、近年では上気道と下気道を連続した構造と考え、ぜんそくとアレルギー性鼻炎の合併を気道全体における一つの疾患と捉えて治療していこうという動きがあります。


<治療について教えてください>


 成人のぜんそくの長期管理薬の第一選択は「吸入ステロイド」です。ただ、アレルギー性鼻炎を合併しているぜんそくは、合併していないぜんそくよりも発作を起こしやすく、コントロールが難しいとされています。合併している場合は、アレルギー性鼻炎の治療も重要で、「抗ヒスタミン薬」や「ロイコトリエン受容体拮抗薬」などを併用します。抗ヒスタミン薬の一部は保険適用で使えます。また、ロイコトリエン受容体拮抗薬は、ぜんそくにもアレルギー性鼻炎にも保険が適用されます。

 小児ぜんそくに対しては、内服でロイコトリエン受容体拮抗薬から治療を始めて、吸入ステロイドを併用するのが一般的です。

 最後に、アレルギー疾患の治療の基本は、原因となるアレルゲンを回避することです。ダニやカビ、ペットの毛といったアレルゲンを取り除くなどの環境整備が何よりも大切です。





白石内科クリニック
干野 英明 院長

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