2023年5月11日木曜日

不眠症の治療に使われる睡眠薬について~後編~

医療法人 五風会 さっぽろ香雪病院  林 千尋 (薬局長)  前編はこちら→

不眠症の治療について教えてください。

 不眠症の治療は、睡眠薬による治療だけではありません。間違った睡眠習慣を改めることや、睡眠に関する正しい知識を伝える「睡眠衛生指導」も治療の柱となります。

 ●睡眠時間は人それぞれで、長さにこだわる必要はない ●就寝時間にこだわり過ぎずに、眠くなってから床に就く ●夜遅くまでパソコンやスマホを使わない ●夕方以降はカフェインを摂取しない ●睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもとになる ●毎日同じ時刻に起床する ●目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計のスイッチをオンにする──

といった睡眠に関する正しい知識や習慣を学びます。「○○時間眠らなければいけない」などと思い込んでいる方もいるので、そういった誤解を解き、習慣を変えるだけで眠れるようになる人もいます。

 非薬物治療で効果がない場合など、医師が患者さんの状態をきちんと評価し、睡眠薬が必要だと診断してから薬物治療を始めます。

睡眠薬の飲み方のポイントを教えてください。

 何よりも大切なのは、医師の指示通りに服用することです。決められた用法用量を守り、勝手に増やさないこと、睡眠薬を服用したら動き回らずにすぐ横になる等の基本を守りましょう。また、睡眠薬服用中はアルコールは摂取しないで下さい。薬の作用が増強され、記憶障害、呼吸抑制、翌日の眠気、ふらつきなどの副作用が強く現れることもあり危険です。

 長年使われているのは、中枢神経の働きを抑制する「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」ですが、近年は体内時計を整えることで症状を改善する「メラトニン受容体作動薬」や、脳の覚醒を維持する物質の働きを弱めることで眠りに導く「オレキシン受容体拮抗(きっこう)薬」という新しいタイプの薬剤も登場しています。それぞれの薬にメリットとデメリットがあり、患者さんのニーズも違います。不眠に悩んでいたり、現在の薬が合わないと感じたら、精神科や心療内科など専門の医師に相談するのが良いと思います。

 睡眠薬は治療や生活の助けになりますが、いずれはやめることを意識することも大切です。ただし、自分で勝手に判断して突然止めると、離脱症状が出て調子が悪くなることがありますので、止める場合は医師の指示に従ってください。


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