2022年3月2日水曜日

北海道の花粉症とぜんそくの関係

 ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 北田 順也 副院長


花粉の季節にぜんそくが悪くなるのはなぜですか?

 北海道の花粉症は4月の中旬から5月下旬がピークです。本州に多いスギ花粉はわずかで、ハンノキ、イチイ、シラカバなどの木本花粉によるものが多く、夏にはイネ科花粉、秋にはヨモギなどの雑草系花粉が飛散しますが、春から夏にかけて一番多く発症します。また、春は風が強く、雪解け後にホコリやチリが舞い上がることが多くなりますし、空が黄色く煙ってビル群や山並みがかすむ「黄砂」が観測される日数も増加します。

 花粉やホコリ、チリ、黄砂の飛ぶ季節・時期になると、目のかゆみや鼻水などの花粉症の症状とともに、せきが長く続いて来院される患者さんが増えてきます。また、同時にぜんそく患者さんの中にもせきやゼイゼイという喘鳴(ぜんめい)が出現したり、鼻炎の症状を伴う患者さんが増えてきます。鼻と気管支は空気の通り道として一つにつながっているので、花粉症の季節には花粉などによって鼻の粘膜が刺激されてアレルギー性の鼻炎が起こり、さらにそれがぜんそく患者さんの敏感になっている気管支へと伝わって状態を悪化させるのです。これが花粉の季節にぜんそくが悪化する原因です。

 花粉症の方で、発熱やレントゲンでの異常がないのにせきが長く続いている場合には、アレルギー素因があるか血液検査をしたり、ぜんそくを発症していないか調べてみるといいでしょう。こういったケースでは治療は咳止めの薬だけでは不十分です。原因を特定し、それに合った治療を受けることが大切です。

治療について教えてください。

 毎年の花粉の時期にもぜんそく症状をコントロールするためには、症状がしばらく落ち着いている時期でも自己判断で治療を中断せず、内服薬、吸入ステロイド薬などによる適切な治療をきちんと継続することが何よりも重要です。それでも花粉症や長引くせきを毎年のように経験する人は、花粉の飛散が本格的に始まる前、または症状が軽い時期から予防的に抗アレルギー剤を服用すると、シーズン中の症状が軽減されます。長引くせきは放っておかず、早期に呼吸器科専門医の受診をお勧めします。


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