2022年2月2日水曜日

レイノー現象

 ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 古崎 章 院長


レイノー現象という言葉を耳にすることがありますが、どのようなものですか。

 レイノー現象とは寒さやストレスなどにより指の表皮内にある皮膚血管が異常に細くなり、色が真っ白になる現象をいいます。手以外では足や鼻、耳たぶにも起こります。色の変化は真っ白→紫色→赤色の三相性の形をとることが特徴です(時に真っ白→赤色の二相性)。白色や紫色の時は血が通っておらず、血流の再開により皮膚血管が拡張して赤色に見えます。経過は数分から30分で、痛みやしびれを伴うことも多いです。

 レイノー現象は膠原病などの病気に伴う続発性と病気を伴わない(原因が特定できない)特発性に分けられます。膠原病の中でも強皮症の9割、全身性エリテマトーデスの4割、シェーグレン症候群2~3割にレイノー現象がみられます。レイノー現象があり、どの診療科に行けばいいのかお悩みの方は、まずはリウマチ科や膠原病科で診てもらうことをお勧めします。

 通常、指の皮膚には通常の毛細血管とは異なる、動脈と静脈が繋がる構造(動静脈吻合)があり、体温が下がると動静脈吻合を収縮させて身体の熱を逃がさないようにします。ところが、レイノー現象では、温度変化に過敏に反応し、過剰に動静脈吻合が収縮してしまいます。現時点ではレイノー現象を完全に消失させることは困難であり、寒冷を避けた生活習慣の改善と補助的な薬物療法が中心となります。

 冷たいものに触れないようにする(炊事や洗濯に湯を使用したり、冷蔵庫内の物の出し入れの際にも手袋を着用したりする)、寒いところや冷房などの急激な温度変化を避ける(室内の保温に努めて、寒冷時の不要な外出は避ける)、血管収縮させてしまう喫煙や薬剤(片頭痛薬の一部、一部の鼻水止め薬など)を避ける、指先だけでなく全身を温める(外出する場合は手袋だけでなく、厚手の靴下を着用したり、使い捨てカイロを使ったりし、全身を冷やさない)ことが重要です。

 レイノー現象は寒冷刺激などで突然起こるため、受診時には症状が消えていることもあります。手指の変色が起こった時は、スマートフォンなどで画像として記録しておき、受診時に医師にみてもらうといいでしょう。治療についてですが、日本ではレイノー現象に適応がある薬剤がないため、体を温めるような漢方薬や一部の血管拡張作用のある薬剤を患者さんと相談しながら使用します。そのほか手袋などで保湿したり、手をよくマッサージしたりするなど予防法がありますので、担当の医師と相談してみて下さい。

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