2022年1月26日水曜日

狭心症と胸部症状

 ゲスト/医療法人五風会 さっぽろ香雪病院 相馬 孝光 医師


狭心症の症状について教えてください。

 典型的な症状は「胸が痛い」「胸が締め付けられる」「胸が熱い」などですが、「歯が痛い」「腕がしびれる」といった、およそ心疾患とは考えられない症状が出ることも珍しくありません。逆に、典型的な症状があっても狭心症ではなかったという例もよくみられます。症状の性状だけでは狭心症の診断は困難です。

 同じ症状でも患者さんによって<表現方法>は異なり、客観的にそれらを評価するのは不可能に近いこともあります。そこで重要なのが、症状の起こり方です。「労作性狭心症」であれば、動いた時に症状が起こり、休むと楽になります。症状の持続時間はせいぜい5分程度です。また、「冠攣縮(れんしゅく)性狭心症」であれば、夜間安静時に起こり、日中労作時に症状がないことなどが特徴として挙げられます。

 例えば、階段を上った時に、再現性を持って「腕がしびれる」症状があり、休むと改善するケース。これは労作性狭心症が強く疑われます。一方、日中何もしていない時に「胸が締め付けられる」感じがあり、2~3時間続くケース。これは「不安定狭心症」や「急性心筋梗塞」でない限り、狭心症の可能性は低いと考えられます。


狭心症の診断について教えてください。

 狭心症は、心臓に栄養を送る血管(冠動脈)に狭窄が生じ、心臓に十分な栄養が供給されずに胸部症状が起こる病気です。労作性狭心症では、動いたときにエネルギー需要の増加に対応できないために起こり、冠攣縮性狭心症では、主に副交感神経の活動が亢進し、血管の痙攣が起きるために起こります。

 そのため、実際に血管に狭窄があるのか、薬剤投与により血管が攣縮するのかどうかなどを確認する造影検査で診断を確定することになります。造影検査には、選択的に行う冠動脈造影(カテーテル検査)とCT検査があります。

 ここでは造影検査の詳細は割愛しますが、胸部症状があって、冠動脈に高度な狭窄があれば確定診断、中等度狭窄であれば、狭窄が悪さをしているかどうかを「負荷心筋シンチ」「FFR(冠血流予備量比測定)」などの追加検査で確認します。

 診療の現場では全く典型的ではない症状を訴える狭心症患者さんが少なくないことも事実です。何か気になることがありましたら、自己判断せずに専門医に相談することをお勧めします。

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