2021年11月3日水曜日

膵囊胞性腫瘍

 ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 院長


膵囊胞(すいのうほう)性腫瘍とはどのような病気ですか。

 囊胞とは、内部に液体がたまった袋のことで、膵臓の中や周りに液体がたまった袋ができた状態を膵囊胞といいます。いくつかタイプがありますが、そのうち腫瘍によるものが膵囊胞性腫瘍です。一般的に無症状で、検診などで偶然発見されるケースが多く、全人口の約2〜3%の人が膵囊胞性疾患を合併しているという報告もあり、決してまれな病気ではありません。年齢とともにその割合は増加し、80歳以上では約1割の合併頻度ともいわれています。基本的に経過観察でよいものと、放置していると悪性になる可能性が高いものがあります。

 膵囊胞性腫瘍のなかで、よくみられるのは膵管内乳頭粘液性腫瘍で英語の頭文字をとってIPMNと呼ばれます。検診で膵囊胞を指摘された場合、IPMNの可能性が高いといえます。膵管は、樹木のように中心に幹になる部分(主膵管)があって、そこから枝分かれしていますが、IPMNは主膵管にも枝分かれした部分にもできます。前者を主膵管型IPMN、後者を分枝型IPMNと分類しています。悪性を示す重要な所見として注意が必要なのは、主膵管の太さ(10mm以上)や嚢胞内の腫瘍の存在や造影剤によって染まるのう胞壁、のう胞が3cmを超えるサイズ、膵炎や黄疸などの症状があるケースなどです。


治療について教えてください。

 IPMNの治療は、先に述べた悪性を示す所見を認め、がんの可能性が高い場合は手術を選択します。一方、がんの可能性の低いIPMNについては、MRIなどを使って、大きさに変化がないかを数年間にわたって経過観察することが推奨されています。観察途中で、がん化を疑う変化がみられた場合は手術を行います。

 IPMNは、良性の病変から悪性の病変までを含んだ、大腸ポリープのような病変と考えてもらえば分かりやすいかと思います。時間経過とともに段階的に悪性になっていくことが知られており、悪性になると周囲臓器に浸潤し、膵がんと同様の経過をたどります。ただ、悪性化の前段階で発見・治療が可能な「治癒が見込める膵がん」ということもできます。検診などで膵囊胞を指摘された場合は、決して放置しないで、まずは精密検査を受けることが大切です。