2021年11月17日水曜日

摂食障害

 ゲスト/医療法人北仁会 いしばし病院 畠上 大樹 医師


摂食障害とはどのような病気ですか。

 摂食障害はさまざまな心理的・社会的な要因から、体重や体型の変化に過度にこだわり、食行動に異常を起こす病気です。10〜20代の若い女性を中心に増加傾向にあり、“やせ願望”からダイエットを繰り返すことが発症のきっかけとなる例が目立ちます。大きく分けて、極端に食事を制限する「拒食症」と、過剰に食べる「過食症」があります。いずれも太ることへの恐怖感を持っており、拒食の反動から過食に変わるケース、拒食と過食を繰り返すケースなどさまざまです。

 健康上、明らかに問題をきたしているのに、自分が病気だという認識を持てなかったり、病気に気づいても隠したり、適切な治療を受けないまま重症化するケースが多いです。極端な低体重や肥満を招くため、栄養失調による生理不順や骨粗しょう症、感染症、肝機能障害などさまざまな身体的症状がみられるようになり、日常生活にも影響が出てきます。

 摂食障害の死亡率は約5%と精神疾患の中で特に高い数値となっています。症状が出てから受診するまでの期間が、その後の経過を大きく左右するため、早期の診断・治療開始がとても重要です。


治療について教えてください。

 摂食障害の治療は、まず自分を苦しめているのは自分自身ではなく、「病気」であることを認識し、「気の持ちよう」や「本人の努力」だけでどうにもならないと知ることから始まります。

 そのために、病気を「別れなければいけない恋人」に例えるなどし、擬人化することで、患者さんの内面に問題があるのではなく、その恋人=病気こそが問題の元凶なのだというふうに発想の転換を図ってもらう(外在化の技法)など、患者さん自身が治療に積極的に取り組み、医療者と力を合わせて治していこうという気持ちを持ってもらえるよう、さまざまな手を尽くします。

 治療に特効薬はありませんが、カウンセリングによる認知行動療法や自助グループでの対話などに効果が認められています。一般的に摂食障害の治療は時間を要することが多いです。一進一退を繰り返しながら徐々に良くなっていきます。回復への道は決して平坦ではありませんが、必ず治る病気です。あせらず、あきらめず、ゆっくりと治療を続けることが第一です。