2021年10月13日水曜日

統合失調症

 ゲスト/医療法人 耕仁会 札幌太田病院 玉城 元之 医長


統合失調症とはどのような病気ですか。

 統合失調症は、10代後半から40歳くらいまでに発症しやすい脳の病気です。実際にないものが見える幻覚や人の悪口などの被害妄想といった「陽性症状」と、喜怒哀楽の表現が乏しくなったり、考えがまとまらなくなる状態が続いたりする「陰性症状」、記憶力や注意・集中力、判断力が低下する「認知機能障害」という3つの症状が特徴的です。周囲から見ると病的であっても、本人が病気を自覚できないのも特徴の一つで、受診や治療を拒むケースも少なくありません。

 原因はまだ特定されていませんが、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの過剰分泌の関与が指摘されています。また、過度なストレスが発症の引き金になるとも考えられています。

 統合失調症は100人に1人がかかる身近な病気です。決して特殊な病気ではありません。もし病気になったとしても、患者さん本人はもちろん、家族のせいではないことを理解してください。また、統合失調症は不治の病ではなく、回復可能な病気です。適切な治療と精神科リハビリを行うことによって、多くの患者さんが自立した社会生活に復帰していることも広く知ってもらいたいです。


治療について教えてください。

 代表的な治療として、薬による治療と精神科リハビリがあります。

 ドーパミンの活動を抑える「抗精神病薬」を中心に、不安や抑うつを和らげる薬や睡眠薬、抗精神病薬の副作用を抑える薬などが使われます。いったん回復し安定しても、また症状が悪化したり再発したりするのを防ぐために、服薬をきちんと継続することが大切です。抗精神病薬は、以前は飲み薬による投与が一般的でしたが、現在は1回の注射で2〜4週間効果が持続する注射剤が登場しています。

 症状が安定してきたら、回復の程度に応じた精神科リハビリを行なっていきます。具体的には、作業療法士の指導のもと、さまざまな軽作業を通じて生活リズムや認知機能の改善を目指す「作業療法」や、地域生活に必要なコミュニケーション能力や自立生活技能などを訓練する「社会生活技能訓練」などがあります。

 多くの病気と同様に、統合失調症も発症から治療を開始するまでの期間が短いほど治療効果が高くなり、社会復帰後の状態も良好であることが分かっています。早期発見、早期治療が大切です。

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