2021年9月22日水曜日

秋から悪化しやすい呼吸器疾患

 ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長


季節によって症状が変動しやすい呼吸器疾患、特に秋から悪化しやすい病気について教えてください。

 朝晩の冷え込みなど、天候や気温、湿度が変わりやすい秋口は、呼吸器の不調で来院される方が多くなる時期です。

 季節によって症状が変動しやすい(季節性のある)呼吸器疾患の一つが「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」です。喫煙が主な原因とされ、肺への空気の通りが慢性的に悪くなり、ゆっくりと進行していきます。せき、たん、息切れなどが主な症状ですが、夏は症状が大変落ち着く季節で,軽症のCOPDの患者さんは治ったかと勘違いするほど調子が良くなります.一方,気管支は乾燥して冷たい空気に弱く,COPDの患者さんは秋~冬になると冷気を吸い,息苦しくなったりして,かぜなどの感染症をきっかけに症状が重症化(急性増悪)することもあり注意が必要です。

 「ぜんそく」も秋になると「夏には調子が良かったのに、近頃はどうも調子が悪い」と訴える患者さんが増えてきます。気温のほか気圧の変化(台風・低気圧)など原因はいろいろありますが、高温多湿になる夏の時期に急増したダニが秋口に死に、死骸が飛び散ることも要因です。ダニは死骸でもアレルギーを引き起こします.また、北海道では春にシラカバ,初夏にイネ科(カモガヤなど)による花粉症やぜんそくの悪化がありますが,晩夏から秋にもキク科(ブタクサ、ヨモギなど)の植物による花粉症が多くみられます。「たかがせき」と思わずに、気管支からの危険信号と捉え、原因を特定し、それに合った治療を受けましょう。

 COPD、ぜんそくもそうですが、「病気=症状」と考えるのは間違いで、患者さんが病気(病態)を持っていても必ずしも症状が出るわけではありません。自分は健康だと思っていたのに、実は病気が隠れていて、秋になって突然発作を起こして来院される患者さんもいらっしゃいます。そこで、はじめて病気だったと気付くケースです。

 このように、COPD、ぜんそくは季節性のある病気です。夏、症状がしばらく落ち着いている時期や、治ったと思うぐらい体調のいい時期があっても、秋から冬にかけて症状が一気に悪くなることがあると再確認し、要注意時期と考えてください。COPDやぜんそくの患者さんにとって最もリスクになりうることは、治療を中断し、病気(病態)がコントロールできていない状態です。「調子がいいから」といって、自己判断で服薬などの治療を中断するのではなく、適切な治療を継続することが何よりも重要です。

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