ゲスト/月寒すがわら眼科 菅原 敦史 院長
失明や視力障害の原因となる病気について教えてください。
現在、中高年の失明原因の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症で、3位は網膜色素変性症、4位は加齢黄斑変性と続きます。これらのうち緑内障と糖尿病網膜症、加齢黄斑変性は早期の診断・治療によって失明を防ぐことができます。また、近視が強い人に多い網膜剥離も、前兆の段階で治療することができれば失明や視力障害に至らずに済みます。
白内障は失明の原因になることは少ないですが、症状が進行すると視力が徐々に失われ、生活の質が著しく低下します。また、眼科を受診せずに白内障を放置していると、急性緑内障発作という失明につながる病気を引き起こすことがあります。白内障によって日常生活に不自由を感じている方は、早めに手術を受けることをお勧めします。
失明や視力障害を防ぐにはどうすればいいでしょうか。
まずは一度、自覚症状がなくても眼科を受診して検査を受けることが大事です。①40歳以上で今まで一度も眼科にかかってない。②家族に緑内障の方がいる。③近視が強い。④糖尿病がある。⑤最近ごみが飛んでみえる症状がある。上記に一つでも当てはまるという方は、早めの受診・検査をお勧めします。
①は「40歳以上の20人に1人が緑内障を発症している」というデータに基づくものです。②、③は緑内障の危険因子です。緑内障は自覚症状が乏しいまま進行し、見づらくなって眼科を受診した時にはすでに失明寸前であるというケースも多いので、特に注意が必要です。④は糖尿病網膜症、⑤は網膜剥離(網膜裂孔)に関する症状で、いずれも検査で初期に見つけることができれば、失明のリスクを大幅に軽減できます。
失明や視力障害につながる病気を早期に見つけるには、視力検査や眼底検査などの基本的な検査に加え、「視野検査」と「眼底3次元画像解析(OCT)」を受けるといいでしょう。視野検査では、緑内障の有無、進行度を確認することができます。OCTは視神経や網膜の断面を3次元で画像解析する検査で、緑内障や加齢黄斑変性の診断や経過観察において不可欠な検査です。
目の不調を少しでも感じたら、老眼や目の疲れと決めつけず、眼科を受診し、これらの検査を受けて自分の目の状態を把握することが何よりも大切です。