2017年9月13日水曜日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)


ゲスト/医療法人社団 大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 院長

COPDの世界的な治療ガイドライン(GOLD)が改定されたと聞きましたが。
 COPDは、タバコや有毒なガスの吸入によって引き起こされる気管支・肺の病気で、せき、たん、息切れなどの症状を呈します。2010年において、世界に3億8千4百万人の患者がいるとされ、年間約300万人がこの病気で亡くなっています。今後、さらに増え続けると予測されます。
 症状は、感冒の後もせきやたんがなかなか治らない、かぜの症状が長引いている、階段を上る時や冬季の除雪作業の際に息切れするなどから始まります。進行すると、常にせきやたんが出て、息切れが続くようになります。高齢者の場合、これらの症状のために外出を控えがちなり、それにより全身の筋力が衰え、さらに動きたくなくなり、寝たきりにつながる可能性のある病気です。
 かぜなどの感染症をきっかけに症状が重症化(急性増悪)することもあり注意が必要です。急激に肺機能が低下し、呼吸困難まで引き起こすケースもあります。

COPDの診断と治療について教えてください。
 COPDによって壊れた肺の組織は元に戻りませんが、進行を食い止めることはできます。年を取っても元気な生活を送れるよう、早期に発見し、すぐに治療に入ることが重要です。まずはたばこをやめることです。
 COPDの診断の基準として、肺機能検査の測定結果が用いられます。大きく息を吸って,一気に吐き出した時の最初の1秒間の息の量(1秒量と言います)が、努力して最後まで吐いた時の「肺活量」の70%以下だとCOPDと診断されます。
 主な治療法は、狭くなった気管支を広げ、呼吸を楽にする気管支拡張薬を使うことです。霧状または粉末状の薬を息と一緒に吸い込み、肺や気管支に直接、薬を届けられる吸入薬が主流です。気管支拡張薬には、長時間作用性抗コリン剤(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)などいくつかの種類があります。近年は、強力に気管支を広げる新薬が増え、選択肢が広がっています。また、効果の異なるLAMAとLABAを一つにまとめた合剤も登場し、その有効性が確認されています。
 今年改定された治療ガイドラインでは症状が強い場合、合剤を積極的に使うことも提案されています。薬物療法を積極的に行い、急性増悪を防ぐこと。そして、適度に体を動かすなど、引きこもりがちにならないよう、活動の範囲を広げ、寝たきりを予防することが推奨されています。

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