2015年5月13日水曜日

子どもの視力検査の重要性


ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 院長

眼科での視力検査について教えてください。
眼科に行くと、視力検査をはじめ、検査機器を使っていろいろな検査が行われます。毎回同じような検査をするので面倒だと思われる人も多いかもしれませんが、眼科での検査は視力の低下を調べるだけのものではありません。単に「視力」といっても裸眼の視力だけではなく、近視・遠視・乱視などの屈折異常や、矯正レンズを当てた状態で良好な視力を得られるかどうかの検査まで行います。目の状態を正しく判断し、隠れた病気の早期発見にもつながります。
 例えば、小学生のお子さんの視力が0.8程度である場合、「授業に支障がなければ問題ない」と考える親御さんも多いでしょう。しかし、強い遠視があるケースでは矯正レンズを当てても良好な視力を得られないこともあります。これは「弱視」という病気です。放置すると、細かいものを見るための脳や神経の働きが十分に成長せず、視機能の発達が途中で止まってしまいます。早期に弱視を発見し、適切な治療を受ければ視力の改善が期待できますが、中学生以降になるとその後の治療は難しくなります。
 弱視の原因を調べるには、視力や視機能についての詳しい検査が必要です。この際、子どもの目は調節力(目のピントをあわせる力)が強いので、正確な度数を測るための特別な点眼薬を使います。これは医療機関でしかできない検査です。学校健診などで視力の不良を指摘されたり、日常生活でお子さんが少しでも「見えづらさ」を訴えたりした場合は、すぐに眼科を受診し相談されることをお勧めします。

子どもの場合、ほかにどんな病気が見つかりますか。
 ストレスが原因で視力低下を招く心因性の視力障害が見つかることも珍しくありません。心理的な要因が絡んでいますが、親御さんはそれに気付かず、単なる近視と思い込んでしまうケースがあり注意が必要です。
 検査で網膜や角膜などに異常は見当たりませんが、本人がうそをついているわけではありません。学校や家庭環境によるストレスが視力の低下につながっているのですが、本人もストレスと症状の関係に気が付いていないことも少なくありません。要因を解消すれば症状は治まりますが、予防策として親御さんがお子さんの心理状況や目の健康に普段から関心を寄せることが何よりも大切です。

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