2011年10月31日月曜日

ストレスの対処法

ゲスト/五稜会病院 千丈 雅徳 院長

ストレスについて教えてください。

 外部からのさまざまな刺激(ストレッサー)によって心や体に負担がかかり、心身にゆがみが生じることをストレスといいます。ストレスは、不眠やうつ、胃痛や頭痛、さらには胃・十二指腸潰瘍など、心と体に不調を引き起こします。仕事が忙し過ぎたり、合わなかったりするとストレスが生じますが、逆に暇すぎてもストレスが生じることもあります。職場やプライベートな場でも、人間関係によるストレスは大きなダメージを与えます。職場で感じるストレスの原因の第一位に人間関係が挙げられているほどです。また、本当は強いストレスが掛かっているにもかかわらず、本人は「ストレスがない」と感じていることがあります。心のストレスといえば、いやな出来事や哀しいことによって起こると思いがちですが、結婚、昇進など本人にとってはうれしい出来事でもストレスが生じることも少なくありません。こうしたストレスは、気づくのが遅れがちです。「何となく調子が悪い」といった心身の不調のシグナルを見逃さないようにしましょう。
 しかし、ストレスがまったく無く、平穏で退屈な生活では、挑戦する意欲や困難を乗り切る充実感を感じることはできません。人間は適度なストレスと向き合うことによって刺激や緊張が生じ、張り合いや生きがいを持って毎日を過ごすことができるのです。大切なのはストレスといかに上手に付き合うかということです。

どう対処すればいいですか。

 ストレス発散に効果的なのはRest(休養)、Recreation(気分転換)、Relax(くつろぎ)の3つのRと言われます。睡眠によって心身を休め、ストレスを癒やすことができます。しかし、何かのきっかけで睡眠不足が続くと、それ自体が大きなストレスになり、今度は不眠を引き起こすという悪循環に陥ることがあります。スポーツや趣味に没頭するなど、実生活とかけ離れた行為に集中したり、普段の生活圏を離れ自然の中で森林浴をするなど、心身のリフレッシュを図りストレスを改善することで、普段の状態を取り戻すことができます。しかし、思い通りにいかないとがっかりしてかえって大きなストレスを抱えることにもなります。
 一人で悩んでいると不安の種は大きくなります。誰かにストレスの原因を話すことでストレスを軽減させることができます。自分を理解し精神的に支えてくれる人を持っておくことが大切です。また、目の前のことだけに集中する、気掛かりなことは紙に書いて頭に残さない、休日は仕事を忘れて過ごす、悩みがあったら親しい人に早めに相談するなど、自分なりの対処法を身に付けて、ストレスがたまらないうちに解決するようにしましょう。
 ストレスに負けない心をつくるには、自分と向き合うことが大切です。ストレスの原因がどこにあるかなど現状の問題点を冷静に洗い出してみましょう。一つのことに集中して全力を注ぐ、プラス思考を心掛けてネガティブなことを言わない、成功した自分を繰り返しイメージするといった方法も効果的です。急に考え方を変えるのは難しいものなので、無理をせず、少しずつ始めると良いでしょう。
 身近に相談する相手がいなかったり、ストレスによる気分の大きな落ち込みを経験された場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。しっかり話を聞いてくれる医師や臨床心理士を選ぶと良いでしょう。

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