2010年10月20日水曜日

「歯科金属アレルギー」

ゲスト/庄内歯科医院 庄内 淳能 院長

歯科金属アレルギーについて教えてください。
 金属アレルギーといえば、汗や体液によってアクセサリーや時計などの金属が溶け出し、皮膚にかゆみや湿疹(しっしん)を引き起こすという症状が一般的ですが、歯の治療で用いた金属が原因で引き起こされる歯科金属アレルギーもあります。これは、金属の冠や支台、インプラントに含まれるニッケルやパラジウムなどがだ液で溶けて、体内に蓄積されることによって起こります。症状としては、手のひらや足の裏に水ぶくれのようなものが現れる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、アトピーに似ているが食べ物に反応しない偽アトピー性皮膚炎、顔に赤くカサカサした湿疹ができる顔面湿疹などが挙げられます。
 皮膚科で検査しても原因が特定されず、対症療法(病気の根本原因にかかわらず、症状を抑えることを目的とした治療)で治癒しなかったり、再発を繰り返す場合には、歯科金属アレルギーが疑われます。

診断方法や治療法を教えてください。
 金属アレルギーの有無はパッチテストで判定できます。パッチテストとは、歯科治療に使用される金属に対応したパッチを皮膚に張り、どの金属にアレルギーがあるかを調べる検査です。歯科金属アレルギー治療の一環として、パッチテストを行う場合は保険が適用できます。当クリニックでは17種類の金属アレルギーに対するパッチテストを実施しています。パラジウムなど一部の金属は、少し時間が経過してからアレルギー反応が発現することがありますので、48時間後、72時間後、7日後に金属アレルギーの有無を判定しています。
 金属アレルギーがあった場合、とりあえず歯の金属冠をはずして様子をみます。本来は症状がなくても、金属を口腔(こうくう)内に入れず、代替のオールセラミックやハイブリッドセラミックを歯冠修復に使用するのが理想的です。しかし、保険が適用にならないため費用が高くなり、すべての歯科金属を排除するのは現実的には困難です。小臼歯と前歯については、プラスチックの一種である硬質レジンを保険適用で使用することができます。
 いずれにしても、金属アレルギーの傾向があり、原因不明の皮膚炎や症状に悩まされている人は、一度歯科金属アレルギーに詳しい歯科医を受診し、原因を特定することをお勧めします。

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