2009年1月7日水曜日

「多焦点眼内レンズによる白内障治療」について

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 医師

白内障の眼内レンズについて教えてください。

白内障は瞳の後方にある水晶体が濁って起きる視力障害です。なかでも加齢に伴う老人性白内障が最も多いとされています。治療には点眼薬が投与されますが、最終的には手術が必要になります。現在、日本で多く行われている手術法は、水晶体を包んでいる袋の中の濁りを取り除き、その袋の中に人工レンズを挿入する方法です。
 現在、日本で使われている眼内レンズは、ほとんどが「単焦点眼内レンズ」です。遠く、あるいは近くの一カ所に焦点を合わせたレンズで、濁りがなくなるため、見やすく視界が明るくなりますが、裸眼でどこでもよく見えるというわけではありません。焦点が遠くにある場合は、読書や縫い物など手元の作業時には視界がぼやけ、老眼鏡が必要になります。逆に近くに焦点を合わせた場合は、外を歩いたり、運転する時に眼鏡が必要になります。

多焦点眼内レンズについて教えてください。 

多焦点眼内レンズは、遠距離、中距離、近距離など複数に焦点が合うように設計されています。今までの単焦点眼内レンズに比べると、遠くにも、近くにも眼鏡なしで焦点が合いやすくなります。日本では認可されたばかりで、まだ症例数は少ないですが欧米では増加傾向にあります。
多焦点眼内レンズでの見え方に脳が慣れるには、年齢や個人間の差はありますが、一般に数カ月程度かかるといわれています。また、単焦点眼内レンズに比べ、遠くも近くも焦点が合いやすいですが、自由にピントを変えることができる見え方とは異なります。場合によっては眼鏡が必要になることもありますが、ひん繁にかけ外しする煩わしさからは解放されます。
単焦点レンズよりは見え方が劣ったり、暗い場所では光が散乱して見えるハローや、光の周辺に輪が掛かって見えるグレアを感じる場合もあります。夜間に車の運転が多い場合などには向いていません。どちらのレンズにするかは、医師と話し合い、ライフスタイルを考慮して選択することをお勧めします。当院では昨年8人の白内障患者に対して多焦点眼内レンズの移植術を行いました。

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