2009年1月14日水曜日

「ぜんそくや慢性の咳(せき)の吸入薬」について

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 医師

ぜんそく、慢性の咳の吸入薬について教えてください。

ぜんそくはさまざまな原因による気道局所の炎症や気管支内腔の狭さくによって起こります。治療薬としては、より少量で効果が得られ、全身への副作用がより少ないという点から、気道へ直接薬剤を吸入することが中心となります。吸入薬の種類としては、ステロイド薬、β2(ベータ ツー)刺激薬、抗コリン薬、クロモグリク酸ナトリウムなどがあります。中でもステロイド薬は、ぜんそく治療における最も効果的な抗炎症薬で、早期に開始するほど効果があるといわれています。吸入ステロイド薬は、ぜんそく発作が起きた時に使うのではなく、毎日使用することによって発作が起こりにくくなります。また、吸入ステロイド薬の中には妊娠中も安全に使えるものがあります。

吸入ステロイド薬に副作用はありますか。

主な副作用は、声がかれる、口腔・咽頭カンジダ症が発生することです。声がかれる場合は一度薬剤を中止するか、起きにくいタイプのものに変えます。吸入後は、必ずうがいをすることが大切です。吸入ステロイド薬にβ2刺激薬を追加することもあります。β2刺激薬は気管支拡張作用があり、吸入ステロイド薬と併用すると効果が増します。β2刺激薬には、短時間作用型と長時間作用型があり、短時間作用型は発作が出た時に使用します。しかし、これに頼って使用回数が多くなると、ふるえが現れる振戦、動悸(どうき)、頻(ひん)脈などが出現します。吸入ステロイド薬と併用するのは長時間作用型です。現在使われている吸入薬は、大別するとドライパウダー吸入と定量噴霧吸入があります。ドライパウダー吸入は自分の吸う力で薬剤が気管に入ります。定量噴霧吸入は噴霧と吸気のタイミングをうまく同調させないと効率良く薬剤が入りません。吸入薬治療を開始してから症状が落ち着いてきた場合、いつまで続けるかは個人差もあり、一概にいえませんが、中止後に再発することも珍しくありません。
慢性的な咳の中に、ぜんそくの前段階ともいわれる咳ぜんそくがあり、女性に多い傾向があります。3割ほどの人がぜんそくに移行しますが、吸入ステロイド薬によって予防することができます。
吸入薬にはそれぞれ特徴があり、使用する場合には医師に相談の上、自分に合ったものを処方してもらいましょう。吸入薬治療を開始したら自己判断で中止しないことが大切です。

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