2013年1月7日月曜日

痔核(じかく)の最新手術


ゲスト/札幌いしやま病院 石山 元太郎 副院長

痔核とはどのような病気ですか。
 痔(じ)と呼ばれる疾患のうち、最も多いのが痔核(いぼ痔)です。通常肛門は、便やガスが無意識のうちに漏れたりしないように、括約筋という筋肉で閉じられています。しかし、これだけでは不十分なため、肛門の出口から数センチ入ったところに、肛門クッションと呼ばれる柔らかな盛り上がり(血管の集まり)があり、これによって括約筋が強い力で収縮しなくても便などが漏れない仕組みになっています。肛門クッションは、ちょうど水道の蛇口に付いているゴム栓のような役割を果たしているのです。排便時に強くいきむなど、肛門に負担がかかることが度重なると、徐々に肛門クッションが腫れて、本来あるべき位置からずれ落ちた状態になります。これが痔核です。
 初期段階であれば薬や生活改善で症状は良くなりますが、痔核が脱出するようになった場合には手術などの治療が必要となります。

痔核の手術について教えてください。
 昔の手術は、痔核を残らず切り取っていました。そうすると肛門クッションもなくなってしまうため、肛門のべとつきや排便障害などの後遺症に悩まされる人も多く、30年ほど前から行われなくなりました。近年の手術は、肛門クッションの重要さが広く知られてきたために、肛門クッションを残す方法を取っています。また、専用の器具を使い、痔核そのものではなく、近くにある直腸粘膜を切除することで痔核をなくす方法も登場しています。
 硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸(ALTA)を痔核に注射するという、切らずに治す方法もあります。治療後の痛みがほとんどなく、長期間の入院も必要ありません。ただし、誤ったやり方で注射してしまうと重大な合併症を引き起こす危険性があります。また、全ての痔核に有効ではなく、その適応を厳密に選択しなければ再発することがあります。
 現在、最も新しい術式であり、再発の可能性がほとんどなく、肛門本来の機能を温存するという観点からも有効と考えられているのが「肛門形成術」です。ずれ落ちた肛門クッションを括約筋から剥離し、本来あるべき位置と思われるところに戻して括約筋に固定するという方法です。術後の痛みや出血も少なく、入院期間を大幅に短縮できるというメリットもあります。