<帯状疱疹について教えてください>
近年、帯状疱疹(ほうしん)になる方が増えています。帯状疱疹は体や顔の左右のどちらかに痛みを感じ、水ぶくれのある発疹が出ます。半月くらいでかさぶたになって治ることが多いのですが、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが続くこともあります。
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)帯状疱疹ウイルスの感染が原因です。過去に水痘にかかった時に、神経の中にウイルスが潜伏し、体の抵抗力が下がった時などに再び活性化して帯状疱疹を発症します。
水痘にかかったことがあれば誰でも発症する可能性があり、80歳までに3人に1人がかかるといわれています。増加傾向の背景にあるのは、高齢者が増えていることや、子どもへの水痘ワクチンが14年に定期接種となったことがあります。ワクチンの効果で、水ぼうそうに感染する子どもが激減し、水痘の子と接触して免疫を活性化させる機会も減ったことが関係しています。
<帯状疱疹ワクチンについて教えてください>
帯状疱疹ワクチンは、今年4月から定期接種化されました。ワクチンは生ワクチンと成分ワクチン(サブユニットワクチン)の2種類あります。
接種回数は生ワクチンは1回、成分ワクチンは2カ月以上の間隔を空けて2回です。発症や重症化を防ぐ効果がありますが、発赤や倦怠(けんたい)感などの副反応があり、成分ワクチンの方が副反応は強いことが多いです。生ワクチンは、妊娠中の方やがん、関節リウマチなどの病気で免疫を抑える薬を処方されている方には使えません。
予防効果は、生ワクチンは約50%です。一方、成分ワクチンは50歳以上で97%、70歳以上で90%という結果が出ており、効果も9年間持続することが確認されています。成分ワクチンは、副反応が強く起きる可能性はあるものの、予防効果は非常に高いといえます。
接種費用は自治体によって異なりますが、生ワクチンは8000円〜1万円程度、成分ワクチンは1回2万円強で受けられます。定期接種の対象は原則65歳ですが、5年間の経過措置が設けられ、65歳以上は70、75など5歳刻みで対象となり、接種費用の一部が公費で助成されます。詳しくは、かかりつけの医療機関にお問い合わせください。
白石内科クリニック
干野 英明 院長
