2025年4月28日月曜日

高齢者の帯状疱疹ワクチンの定期接種化について

<帯状疱疹について教えてください>


 帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が背骨に近い神経に長期間潜んでいて、加齢や疲労、ストレスなどにより免疫機能が低下したときに、ウイルスが再び目覚めて発症し、潜んでいた神経の領域に沿って痛みを伴う水疱(すいほう)が出現する病気です。

 水疱の出現する3〜4日前から痛みが出る場合もあります。痛みはだんだんと強くなり、中には眠れないほど痛みが激しくなることもあります。一般的に50歳あたりから発症率が増加し、80歳までに3人に1人が発症するといわれています。

 関節リウマチなどのリウマチ性疾患や白血病、リンパ腫、臓器移植後の患者さんなどは、病気や治療薬の影響で免疫機能が低下していることが多く、例えば関節リウマチの患者さんでは一般の方の約3倍、また治療薬としてJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬を使用しているリウマチ患者さんでは、使っていない患者さんの約3倍(一般の方の約9倍)多く帯状疱疹を発症するとされます。


<帯状疱疹ワクチンについて教えてください>


 予防には主に50歳以上を対象としたワクチンがあり、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。関節リウマチなどの治療薬を使っている場合は生ワクチンを接種できないため、不活化ワクチンを接種します。不活化ワクチンは、筋肉注射で1回目の接種から2カ月をあけて2回目の接種が必要です。4年目までは約90%、10年目までは約70%の予防効果が続くとされ、費用は1回2万円前後です。

 帯状疱疹の予防接種は、これまで全額自己負担の任意接種でしたが、予防接種法に基づき、2025年4月から65歳以上の人を対象に定期接種となり、費用の一部が公費で助成されます(助成は初回のみであることが注意点です)。国による補助のほか自治体によっては独自の助成を行うところもあるとみられ、自己負担額は自治体によって異なりますので、各自治体に問い合わせてみてください。対象者は、25年度内に《1》65歳になる人《2》70、75、80、85、90、95、100歳になる人です(そのほか60〜64歳で、免疫機能に障害があり、障害等級1級の人)。

 帯状疱疹のリスクが高い方は、ワクチンで防げる病気なので積極的に接種することをお勧めします。




佐川昭リウマチクリニック
古崎 章 院長

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