[女性の更年期障害について教えてください]
閉経の前後それぞれ5年、およそ45〜55歳が更年期です。女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に低下することにより、暑くないのに汗が噴き出すホットフラッシュや、動悸(どうき)などの血管運動神経症状、気分の落ち込みやいらいら、倦怠感(けんたいかん)、不眠などの精神神経症状などが現れます。
症状の重さには個人差がありますが、多様な症状によって、日常生活に支障が出てしまう状態を更年期障害といいます。更年期障害はホルモン以外に環境にも大きく影響されます。子育てや介護に直面しながら、職場で重責を担う時期にも当たり、パートナーや子どもとの関係や職場の人間関係などの心理的・社会的なストレスが症状を悪化させることもあります。
更年期は女性の誰もが経験する人生の通過点です。正しく知って、対応すれば、更年期障害は決して怖いものではありません。
[女性の更年期障害の対策や改善法について教えてください]
第一に、更年期を迎える前に「かかりつけ医」を持っておくことが大切です。若い頃から気軽に相談できるかかりつけ医を持つことで、ご自身の身体のちょっとした変化や不調、不安も相談しやすくなるし、きめ細かいアドバイスを受けることもできます。かかりつけ医とよく話をして、二人三脚で乗り越えることが大事です。
「更年期だから」と不調を我慢したり、放っておくのは危険です。更年期障害の症状だと思っていたものが、実は別の重大な病気によるものだったというケースも少なくありません。定期的に健康診断を受ける、ヘルスリテラシーを高めておくなどのセルフマネジメントも欠かさず、気になる症状があるときは健康に対するサインと受け止め、迷わずかかりつけ医に相談してください。
適度な運動習慣とバランスの取れた食事、質の高い睡眠など生活習慣を改善することは非常に重要で、発症の予防や症状の改善につながります。また、更年期は特に精神面のサポートが必要です。苦しい時や困っている時に本人が助けを求められるよう、パートナーや職場の方々が女性の健康状態に日常的に気を配っていただきたいと思います。
人生100年と考えると、更年期は第二の人生の始まりです。気持ちよく再スタートできるよう心と体のメンテナンスをしておきましょう。
医療法人 五風会 さっぽろ香雪病院
中村 浩子 医師